顔写真や位置情報などがダダ漏れだから大変! 女性配達員の苦労【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第33回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * 今回のテーマは女性配達員。 私が配達を始めた6年前は、ウーバーイーツという存在が都心部に住むごく一部の人にしか知られておらず、配達員も男性が多いと思われるバイク便や自転車便の経験者がほとんどだったため、女性配達員は皆無と言っても過言ではない状況でした。 当時から働いていた方もいるかもしれませんが、少なくとも私は配達を始めてからしばらくの間、女性配達員の姿を目撃したことがありませんでした。 そんな状況が変わってきたなと感じたのが、配達員を始めてから1年以上たった2019年ぐらいから。当初は「週に一度見かける」程度でしたが、次第に人数も増え、今では1日に何度も見かけるなというのが当たり前になっています。 朝10時ぐらいだと、前後に子供用のシートを取り付けた電動アシスト自転車で配達している、お母さんと思われる女性を見かけることもあります。ちょっとした空き時間に配達することができ、配達依頼を受けてから完了するまで以外は拘束がないという働き方は、子育てと相性がいいのでしょう。 ライター兼、配達員兼、ウーバーイーツ組合の委員長をやっていると、雑誌やウェブ記事の取材、配達員のリアルな声の聞き取りなどの仕事で女性配達員と話す機会がけっこうあります。聞いてみると、彼女たちには私のようなおじさん配達員が遭遇しないような危ない出来事や気を遣うことがあるようで......。 そこで、どんな危険が潜んでいるのか。女性配達員の身に実際に起こった出来事を紹介します。 あるある話のレベルで出てくるのがセクハラ。 「札幌市〇〇区で配達する女性の間で有名なのは『全裸おじさん』。料理を受け取るとき、素っ裸で出てきます」(札幌市の配達員Aさん) 「最悪だったのが、現金の支払いの際『手を出して』と言われて、小銭を1枚1枚私の手に乗せていくおじさん。1枚置くたびに手を握ってくるから気持ち悪くて」(東京都の配達員Bさん) このような注文者に対して、女性配達員の対応はというと......。 「運営に通報すると、その人からの依頼を永久に自動拒否できるので、即通報しました」(Aさん) 「支払いを現金で行なう依頼をすべて拒否する設定にしました」(Bさん) 個人的には、こういった注文者のアカウントを永久停止すべき案件だと思いますが、全裸おじさんの場合「女性配達員の間で有名になっている」とのことなので、運営もおそらくそこまでの対応は現在していないのでしょう。 また「こいつセクハラ注文者だな」と感じる予兆もあるそうです。 「注文者の依頼内容を確認する画面に『置き配』と指示されているのに、配達中に『置き配じゃなく、直接手渡しでお願いします』というメールが来たら高確率でセクハラ案件です」(東京都の配達員Cさん) このようなセクハラ案件が起こるのは、注文者が配達員の情報や現在位置を確認できる機能があるからだと思います。 ウーバーイーツ配達員は登録の際、運営側に自分の顔写真を送るルールになっています。また、配達員の名前は本名で登録されます。そして送った画像、登録した画像はアプリ上に表示されます。この機能を使えば、女性配達員であることがわかるので、「置き配じゃなく、直接手渡しでお願いします」なんてメールを送る人が出てくるのではないでしょうか。