顔写真や位置情報などがダダ漏れだから大変! 女性配達員の苦労【チャリンコ爆走配達日誌】
最近はこんな話も。 「お客さんから『足をケガしたので、ドアのところまで行くことができない。注文したものを持って部屋の中まで入ってきてくれないか』と連絡がありました。もちろん無視して置き配しましたが、これが現金払いの注文だったら、部屋まで行かないとお金がもらえないので......ゾッとしますね」(東京都の配達員Dさん) 直接的なセクハラではないですが、注文者が配達員の情報を確認できる機能があるため、こんな気苦労もあるそうです。 「冬場や夏場の注文が少ない時間は自宅で注文が来るまで待機したいのですが、依頼を受けた瞬間から注文者に私の名前、顔写真、今いる場所がわかるようになっているので、自宅で待機していたら『長い時間とどまっているということは彼女の自宅はここだな』とバレてしまう可能性があります。なので、配達する日は自宅を出てしばらくしてから配達員用のアプリをオンにして注文を待つようにしています」(Dさん) 配達員には運営から定期的にメールマガジンが配信されます。その情報によると、運営側は定期的に配達員を集めたイベントを行なったり、アンケートを送信して配達員からの意見を汲み上げ、反映しているそうです。ですが、配達員の写真、名前、位置情報が原因で起こるひどい話は今でも耳に入ってきますし、現在も注文者は配達員の写真、名前、位置情報を確認することができる仕様に変更はありません。 私が委員長をやっている配達員の組合からも提言をしていますが、運営からは「あなた方は労働者ではないので、回答する義務はありません」といった内容の連絡しか届きません。 このままではトラブルではなく事件が起きてしまう可能性があります。「会社が認めない組合からの提言を取り上げるのは......」なんて余計なことは考えず、取り急ぎ、配達員の顔写真を非表示、名前をニックネームでも大丈夫な状態にして女性配達員かどうかわからないようにすることと、位置情報機能を配達員が店で商品を受け取ってからにするなど、女性も安心して配達できる環境を作っていただけたらと思います。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明