なぜ久保建英のパリ五輪出場にレアル・ソシエダはオフシーズンにもかかわらず難色を示すのか?
開催中のAFC・U-23アジアカップは、終盤戦に突入したヨーロッパの2023-24シーズンと重複している事情もあった。しかし、男子サッカー競技が7月24日から8月9日まで開催されるパリ五輪は、スペインではプレシーズンにあたる。 それでも前出の『MUNDO DEPORTIVO』は、久保の出場は難しいと伝えた。 「詳細はまだ決まっていないものの、ラ・リーガ1部の新シーズン開幕は8月16日に予定されている。つまり、パリ五輪に出場するラ・レアルの所属選手はプレシーズンの準備期間にほとんど参加できないまま、新シーズンの開幕直前に合流せざるをえなくなる。特に久保は今年に入って、非常に激しい戦いを余儀なくされている。新シーズンの開幕を前にして、大切なスター選手に消耗してほしくない、とラ・レアルは考えている」 今シーズンのソシエダはラ・リーガ1部に加えて、スペイン国王杯でもベスト4へ進出。さらにミッドウィークには10シーズンぶりに挑むUEFAチャンピオンズリーグを平行して戦い、グループリーグを突破してラウンド16進出を果たした。 過密スケジュールに加えて、久保は1月から2月にかけてカタールで開催されたアジアカップにも森保ジャパンの一員として参加している。ソシエダのスポーツディレクターを務めるロベルト・オラベ氏がアジアカップ期間中の1月に来日した際に、久保の今後に対して言及したコメントを『MUNDO DEPORTIVO』はあらためて掲載している。 「久保の健康状態を考えるのは当たり前だ。いま現在のサッカー界のスケジュールは非常にタフになっている。だからこそ、われわれは選手を大事にしないといけない」 3月の北朝鮮代表との北中米W杯アジア2次予選のために帰国し、森保ジャパンに合流した久保は、今シーズンを「正直、きつかった、というのはある。コンディションがいいのか、と聞かれればよくないと言わざるをえない」と本音を漏らしていた。 実際、スペインへ戻った後には右太もも裏に違和感を訴え、3月31日のアラベス戦では前半44分でピッチを後にしている。その後も別メニューでの調整となった状況を受けて、ソシエダの地元メディア『Noticias de Gipuzkoa』はこう指摘した。 「久保の体は『もう十分だ』と言い始めている。疲労のためにパフォーマンスを落としている自分の体に耳を傾け、無理をしない決断を下すときが訪れたのかもしれない」