高度なテクニックと多彩な奏法で魅せる、“スペイン・ギター音楽の父”タレガの作品/クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
タレガ『アルハンブラの思い出』/トレモロ奏法が印象的なギター史上屈指の人気曲
今日11月21日は、“スペイン・ギター音楽の父”とたたえられるフランシスコ・タレガ(1852~1909)の誕生日です。タルレガとも表記されるタレガは、19世紀後半から20世紀にかけてスペインのギター界をリードした作曲家にしてギター史上屈指のヴィルトゥオーゾ(演奏技術の達人)です。 残された作品は、“ギターのサラサーテ”と呼ばれた凄腕にふさわしく、高度なテクニックと多彩な奏法を生かした作品が目白押し。さらには、ベートーヴェンやメンデルスゾーン、ショパンなどの作品をギター編曲したほか、同時代の作曲家アルベニスなどのピアノ曲をギター編曲したことによって、スペイン音楽を世に広めた功労者といえる存在でした。まさに“スペイン・ギター音楽の父”。 そのタレガの代表作として名高い『アルハンブラの思い出』は、スペイン・グラナダにあるアルハンブラ宮殿を訪れた際の感銘をもとに作曲された小品です。高度なテクニックである「トレモロ」奏法を生かした美しいメロディこそが、時代を超えて愛され続けるゆえんでしょう。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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