Hedigan'sの特異な個性を考察、Suchmos・YONCE擁するロックバンドが音楽シーンに与える衝撃
「覚悟を持って、自由に好きなことをやる」精神性が伝わるライブの現場
『2000JPY』以降に発表された楽曲はさらにバラエティ豊かで、「O’share」は大内がThe Whoのキース・ムーンばりのドラミングを聴かせ、The Stooges級の推進力を感じさせるガレージロックだし、そこから一転して「カーテンコール」はこれまでのHedigan’sの中では最もポップスに接近したナンバー。「グレー」はファンキーかつダンサブルなサウンドでまたも新境地を見せたが、Suchmosのアシッドジャズ的なグルーヴとは異なる、鋭角なポストパンクサウンドにHedigan’sらしさを感じる。そして、アルバムからのリード曲となったのが、バンジョーやマンドリンを用いたオールディーズ風の「再生」で、彼らが音楽の歴史と接続しながらも今という時代を「再生」させていくバンドであることを改めて印象付ける。〈打ち合わせはもう十分だ 上手くやってもつまらないのさ〉という歌詞も、バンドのスタンスを実によく表していると言えるだろう。 彼らの「覚悟を持って、自由に好きなことをやる」という精神性が音源以上に伝わるのがライブの現場だと言えよう。僕は今年彼らのライブを3回見ていて、2月にROTH BART BARONを招いて渋谷クアトロで開催された東名阪ツアーの東京公演、5月の「VIVA LA ROCK」、7月の「FUJI ROCK FESTIVAL」と、回数を重ねるたびにそのサウンドがスケールを増すとともに、よりエクスペリメンタルな進化も果たしているのが印象的。「LOVE(XL)」ではWILCOの「Via Chicago」ばりにノイズが掻き鳴らされ、「説教くさいおっさんのルンバ」はダブアレンジでFishmansばりのサイケなロングトリップが展開され、音源ではエディットが施されている「敗北の作法」もライブでは生演奏で、プログレバンドにも通じる凄みを見せる。往年のロックギタリストのような魅せるソロでオーディエンスを沸かせる栗田将治、ニコニコと楽しそうに体を揺らす本村拓磨はステージ映えも抜群で、メンバー5人のバランスもいいし、ラストに演奏されることの多い「論理はロンリー」では最後に轟音が鳴らされ、毎回高揚感に包まれるのも特別な体験だ。 そして、やはりそのステージの中央に位置するYONCEの存在感が格別であり、間違いなくバンドの軸になっている。カウンター的な側面も持ち合わせながら、それでも最終的にはHedigan’sに王道感を感じるのは、これまでに名前が挙がったような王道と革新を併せ持つバンドたちへの愛情を共有していることはもちろん、その中心にYONCEがいるということが何よりも大きい。そもそもSuchmosが日本を代表するバンドになったのは、アシッドジャズやネオソウルを内包した音楽性が時代とマッチしたからというよりも、そこにある種の異物として存在した稀代のロックボーカリスト・YONCEがいたからこその化学反応によって成し得た達成だったと言えるはず。歌詞では混沌とする社会を皮肉交じりに描きながら、それでも根底には愛を見つめる眼差しがあり、より深みを増したボーカルには聴き手を包み込むようなムードがある。「再生」の〈明日また会いましょう 愛の歌 口ずさみましょう〉という一節は、まさにその象徴だ。そんなYONCEの精神性を長く共有しながら、それぞれの山を登ってきたロンリーソウルたち。それこそがHedigan’sなのである。 <リリース情報> Hedigan’s 1st Album『Chance』 11月20日配信リリース 配信リンク: =収録曲= 1. 地球(仮) 2. マンション 3. その後... 4. グレー 5. 再生 6. Mission Sofa feat.井上真也 7. But It Goes On 8. O’share 9. カーテンコール 10. ふしぎ ■CD 2025年1月15日リリース 品番:KSCL 3566~7 価格:3950円(in tax) CD購入リンク: DISC 1 1. 地球(仮) 2. マンション 3. その後... 4. グレー 5. 再生 6. Mission Sofa feat.井上真也 7. But It Goes On 8. O’share 9. カーテンコール 10. ふしぎ DISC 2 Live at SPACE SHOWER MUSIC Presents “EPOCHS Music & Art Collective 2023” 1. 夏テリー 2. LOVE(XL) 3. サルスベリ 4. 説教くさいおっさんのルンバ 5. 敗北の作法 6. 論理はロンリー <ライブ情報> Hedigan’s “TOUR Chance”2025 2025年1月25日(土)横浜BAYHALL(神奈川) 2025年2月1日(土)BEAT STATION(福岡) 2025年2月9日(日)熊谷HR(埼玉) 2025年2月11日(火・祝)仙台Darwin(宮城) 2025年2月15日(土)名古屋CLUB QUATTRO(愛知) 2025年2月16日(日)心斎橋BIG CAT(大阪) 2025年2月23日(日)cube garden(北海道) 2025年3月2日(日)Zepp Shinjuku(東京) チケット受付URL: スタンディング:前売り¥5500/当日6000(ドリンク代別) U-18チケット:¥3500 ※U-18チケット注意事項 ・当日券なし ・入場時に生年月日の確認を実施いたしますので必ず身分証をご持参下さいませ。 ・身分証を忘れた場合、チケット代の差額¥2,000をその場にていただきます。 主催:HOT STUFF PROMOTION / BEA / NORTH ROAD MUSIC / JAILHOUSE / 清水音泉 / WESS 企画制作:SPACE SHOWER MUSIC / BIAS & RELAX adv.
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