なぜ日本代表の親善試合マッチメークは苦戦するのか?
欧州勢を日本へ招聘することはほぼ不可能
ネーションズリーグを新設した最大の目的は、実力が均衡したディビジョンに分けて真剣勝負の機会を増やすことで、各代表チームの実力アップを図ることにある。たとえば最高峰のディビジョンAの顔ぶれは、ワールドカップでもなかなか対戦が見られない豪華絢爛なものになっている。 【グループ1】フランス、ドイツ、オランダ 【グループ2】スイス、ベルギー、アイスランド 【グループ3】ポルトガル、ポーランド、イタリア 【グループ4】スペイン、イングランド、クロアチア さらに各ディビジョン間で昇降格システムも設けられたため、白熱ぶりに否が応でも拍車がかかる。一方で3ヵ国によるリーグ戦のため、グループリーグを戦わない国が必ず出てくる。 グループ1を例に取ればドイツとフランスがスコアレスドローに終わった9月6日はオランダが、フランスが2‐1でオランダを下した同9日はドイツがそれぞれネーションズリーグを戦っていない。 貴重な国際Aマッチデーをどうしたかと言えば、南米のペルー代表をヨーロッパに招へいし、9月6日にオランダと、3日後にはドイツと対戦している。ここでカギを握ってくるのが、FIFAが2014年に改正し、いま現在に至っている国際Aマッチに関する規約だ。 ひとつの国際Aマッチウイークで国際Aマッチを連続して行う場合は、同一大陸内で開催することが義務づけられている。つまり、ヨーロッパ勢はネーションズリーグを戦っている間は、ヨーロッパ以外の大陸で国際Aマッチに臨むことができない。 必然的にヨーロッパ勢同士の試合を組むか、あるいは他大陸のチームを招へいするしかない。ここで重視されるのが公式戦であるネーションズリーグの発案者、UEFAのミシェル・プラティニ前会長がヨーロッパサッカー界に関わる全員の思いを代弁する形で唱えた主張だ。 「国際親善試合にはもはや誰も興味を示さず、何の意味ももたない」 ゆえに日程的な問題から国際親善試合を組む場合でも、対戦国の実力が重視される。試合のない他のグループのヨーロッパ勢か、南米勢でFIFAランキングが高い国がどうしても対象となる。ちなみに、ワールドカップ・ロシア大会に出場したペルーのFIFAランキングは21位だった。 日本の最新のFIFAランキングは54位。数字がすべてを物語るわけではないものの、それでもヨーロッパの地で連戦に臨むマッチメークはハードルが高いと言わざるを得ない。FIFAの規約が存在する以上、日本国内でヨーロッパ勢と対戦することもほぼ不可能になった。 今後のスケジュールを見れば、ヨーロッパの強豪勢が空くのはユーロ2020の出場国が出そろった後の2020年3月。ただ、ここでも日本を含めたアジア勢とのマッチメークがかなう保証はなく、その後は第2回ネーションズリーグやワールドカップ予選も始まることから、4年後のカタール大会直前のテストマッチ期間までヨーロッパ勢と対戦できないおそれもある。