船井電機、500人以上すでに解雇 民事再生でも人材が戻ってくるかは不透明
破産か経営再建か-。10月下旬に破産手続きの開始決定を受けた家電メーカー「船井電機」(大阪府大東市)で、同社の原田義昭会長が民事再生法の適用を東京地裁に申請した。ただ、すでに500人以上の従業員は解雇され、就職先を探している人も多い。例え破産が回避されたとしても人材が戻ってくるかは不透明だ。経営破綻へと至った経緯もいまだ詳細が分からない中、船井電機を巡る混乱はまだしばらくは続きそうだ。 「民事再生が認められるには、大手企業からの支援が決まるといった、かなり具体的な道筋が必要だろう」。東京商工リサーチの担当者は、船井電機再建の難しさを指摘する。 東京商工リサーチの調査によると、2019年1月~2024年10月までの破産件数3万2998件のうち、破産開始決定が取り消されたのは5件。確率にしてわずか0・015%という「天文学的な低さ」となっている。 また、民事再生が認められたとしても従業員が戻ってくるとはかぎらない。船井電機の元従業員向けにハローワーク門真(同府門真市)で11月に開かれた説明会には、再就職先を求め多くの人が集まり、約800社からの約2千件の求人をまとめた冊子が手渡された。参加した40代男性は「子供がいるので早く仕事を決めないと」と切羽詰まった様子で話した。 帝国データバンクの担当者は「支援の動きもあり、すでに就職が決まっている人もいると思う。それを断って船井電機に戻るのはあまり現実的ではないだろう」と指摘している。(桑島浩任)