「高血圧」の季節ごとの対処法はご存じですか? 夏・冬それぞれの注意点も医師が解説!
高血圧の対策方法
編集部: 高血圧の人は、どのようなことに気をつければいいのですか? 伊藤先生: まずは、食生活を見直すことから始めましょう。特に塩分の摂りすぎは、高血圧を悪化させる要因となります。加工食品に含まれる食塩も合わせて1日に6g未満にすることが推奨されています。ただし、高齢者の場合は「フレイル」という体の脆弱性も指摘されているので、体の状態によって塩分の摂取量を考慮することが必要です。 編集部: ほかに気をつけることは? 伊藤先生: コレステロールや飽和脂肪酸の摂りすぎも高血圧を悪化させますし、食べ過ぎも肥満につながり、血圧をさらに上昇させます。そのほか、アルコールの過剰摂取にも気をつけましょう。 編集部: 食事以外で注意すべきことはありますか? 伊藤先生: 健康な人の場合は、適度な運動をすることが推奨されています。特に有酸素運動は血圧を下げる効果があるとされているため、できれば毎日30分以上、ややきついと感じる程度の運動をすることをおすすめします。ただし、併存する疾患によっては運動の強度などを調整する必要があります。 編集部: そのほか、高血圧を悪化させる要因はありますか? 伊藤先生: 高血圧は遺伝的な要素や、ストレスや睡眠不足なども深く関わってきます。加えて、真面目で几帳面すぎる性格の人も高血圧になりやすいとされています。 編集部: 性格も関わってくるのですね。 伊藤先生: はい。血圧は多少高くても、ほとんど自覚症状がありません。そのため、自分で血圧が高いことに気づかず、生活で無理をしてしまう人も少なくありません。しかし、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれており、知らない間に血管に負担をかけて動脈硬化を進行させます。高血圧と指摘されたことがある場合や、身内に高血圧の人がいる場合は、なお一層、血圧管理に気をつけましょう。
高血圧の季節における注意点
編集部: ほかに注意すべきことはありますか? 伊藤先生: 寒さや外気温の急激な変化も血圧を上げる要因として考えられています。特に、冬は高血圧に要注意です。「屋外に出るときは防寒対策をする」「布団から出る前に暖房をかける」などの対策を怠らないようにしましょう。 編集部: 寒さ対策が必要なのですね。 伊藤先生: そうですね。中でも血圧が上がりやすいのは、「脱衣所」と「トイレ」です。脱衣所は浴室との温度差が大きいので、浴室から上がったときに急激な温度変化で血圧が上がりやすいです。また、トイレはほかの部屋と比べて気温が低くなるので、血圧が上昇しやすいとされています。そのため、入浴するときには脱衣所を温める、トイレの中や便座を温めるといった対策がおすすめです。 編集部: 一方で、夏に気をつけることがありますか? 伊藤先生: 夏は暑さで汗をかくため、体内の水分が失われやすくなります。脱水になると血液の量も減少し、血圧が下がることがあります。そのため、夏は喉が渇いたら水分をしっかり摂りましょう。特に外での作業や運動などで発汗量が多い場合には、水分だけでなく、経口補水液などで塩分やミネラルを適切に補給することも大切です。 編集部: 水分は多めに摂った方がいいのですか? 伊藤先生: 基本的にはそうなります。ただし、過度に摂りすぎると心臓腎臓に負担がかかることがあるので、喉の渇きにあわせた水分補給を心がけましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 伊藤先生: 普段から「健康診断で血圧が高いと指摘されました」という相談をたくさん受けます。しかし、健康診断やクリニックで測定する数値よりも、家庭で測る数値に目を向けてほしいです。健康診断やクリニックだとどうしても高くなりがちなので、可能であれば家庭で毎日血圧を測定する習慣をつけましょう。最近は若者の高血圧も増えているので、年齢に関係なく、健康診断などで「血圧が高い」と指摘されたら、自宅で測定する習慣をつけることをおすすめします。