笑いを誘う金田哲・秋山竜次との演技は「トリオ感覚」 公任役町田啓太が語る「光る君へ」
秋山と金田はお笑い芸人だけに、3人でのシーンは「ライブ感があって、トリオに混ざったような感覚」だったという。
「秋山さんが何の前触れもなくちょっとずつ(演技を)変えていくから大変でした。金田さんも無意識にセリフを変えることがある。次に何がくるんだろうって本当に面白かったです。アンテナを立てながら2人を見ていました」
現場も独特の空気感に包まれたという。「スタッフさんも笑いを我慢しているような感じになるんです。斉信トラップってあるんですよ。金田さんってゲラ(笑い上戸)で、耐えられなくなるとあの大きな目を開いて見てくる。あれがいけない(笑)。やめてくれって思いながら演技をしていました。思い出したら変な汗かいてきたな」と笑う。
■平安貴族は優雅じゃない
大河ドラマでは「西郷どん」「青天を衝け」に出演したがいずれも、舞台は幕末。今作に出演したことで、平安時代の印象が変わったという。「貴族たちは優雅に過ごしているイメージでしたが、とんでもない。忙しすぎる。除目(朝廷の儀式のひとつ)とか見ればわかりますけど、やることがこんなに決まっているのかとぞっとしました。だからこそ、雅な世界観を大事にしていたんでしょうね」
劇中では竜笛や書、漢詩、打毬(だきゅう)などを披露し、平安文化を伝える役割でもあった。
竜笛のシーンは、ただ奏でるだけでなく、いかに雅に美しく吹くかを考えたという。「エリート街道まっしぐらのときと、雲行きがあやしくなってからの違い、演奏だけではなくて、年輪を重ねたことも含めてどう表現するかがすごく難しかったですね」と語る。
1年半を振り返り、ほかの仕事をしているときでもどこかで「光る君へ」を考えていたといい、「自分のなかで比重の大きい仕事」だったという。「僕も俳優であり、芸事の世界で挑戦している人間。(公任は)誰しもに認められるような能力があって、それが1000年先まで語り継がれている。とても刺激を受けましたし、もっと頑張っていきたいという思いになりました」。(油原聡子)