笑いを誘う金田哲・秋山竜次との演技は「トリオ感覚」 公任役町田啓太が語る「光る君へ」
道長、斉信、行成の藤原姓の4人の貴公子は仲良く集う様子から、「F4」と視聴者から呼ばれ人気に。中盤からは4人のシーンは少なくなったが、30回の鍋を囲みながら会話するシーンは、久々に素の4人に戻ったかのような場面だった。「風貌やいきさつは変わっているんですが、昔の感じに戻ってしまうというか、『不思議だね』『同窓会で同級生に久々に会うとこういう感じだよね』とか話していました」
政治では、源俊賢(本田大輔)を加えた「四納言」で、道長を支えてきた。左大臣である道長へ敬意を持ちつつ、率直に進言する姿からは長年の信頼関係を感じさせる。44回では、摂政と左大臣を兼ねる道長に「欲張りすぎだ。内裏の平安を思うなら左大臣をやめろ」と迫った。
「勝手な解釈ですが、道長が頑張りすぎている。いい顔をしながらいろんな人の意見を全部聞いていたら危ない。時代は移り変わるからどんどん変えていったほうがいいんじゃないかなという思いがありました」
政治への興味が薄かった道長は権力欲も垣間見せるようになったが、直言の裏には「変わらないでほしい。裏切らないでほしい」という願望もあったという。「道長に言える人がなかなかいない。(公任は)旧友ですし、割と言いたい放題の人物。行成や俊賢、斉信とも多分話をして、『俺が言う』となったんじゃないかな」と推測する。
一足先に政治の世界から身を引いた道長の姿については「背負っていたものがすこしおりた」と思う一方、「まだいろいろ考えている」と感じた。44回の終盤、道長は宴で「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる ことも なしと思へば」という有名な歌を詠んだ。これは傲慢さから出た歌ではないと考えているという。「ちょっと出てきたもの(感情)を詠んだというか、ぼーっとしている昔の面影が見えたような感じがしました」
■スタッフも笑いを我慢
実資(秋山竜次)と斉信とともに、くすっと笑えるシーンを担うことも多い。32回では、実資の作戦により、公任は斉信と同じ従二位に。複雑そうな表情の斉信の前で、公任は実資とともに自分の官位をうれしそうに繰り返した。