北國銀「営業力上げ、収益向上」 米谷新社長らトップ人事内定
北國銀行は20日の取締役会で、杖村修司代表取締役頭取(63)が退任し、代表取締役会長に多田隆保CCイノベーション会長(61)、代表取締役社長に米谷治彦常務執行役員法人部長(54)が就く来年3月1日付のトップ人事を内定した。金沢市の同行本店で会見した米谷氏は「銀行全体の営業力を上げ、ホールディングス全体の収益向上につながる流れをつくっていきたい」と意欲を示した。 ●北國FHD取締役 9人中5人が交代 杖村氏は、北國銀行の持ち株会社である北國フィナンシャルホールディングス(FHD、金沢市)の社長を引き続き務め、グループ全体の経営を担う。コンサルティング業務を手掛けるCCイノベーションの会長も務めることになり、「コンサルティングや助言、投資、そしてシステムというのはまだまだ飛躍させたい」と語った。 杖村氏は頭取から社長に呼称を変更したことについて「お客さんに寄り添ってコミュニケーションを増やしたい思いがあり、社長というのが我々にとってふさわしい」と説明。米谷氏も「コミュニケーションの量と質を上げていきたい」と抱負を述べた。 今回のトップ人事に合わせ、北國FHDは取締役9人中5人が交代する役員の異動を発表した。中田浩一代表取締役常務執行役員が退任し、後任に井川武常務執行役員システム統括部長が就く。このほか、横越亜紀常務執行役員が取締役監査等委員(北國銀行監査役を兼務)となり、社内から取締役に就任するのは女性で初めてとなる。 このほか、菊澤智彦CCイノベーション社長が新たに取締役常務執行役員も務め、ともに社外取締役監査等委員である宇田左近ドリームインキュベータ(東京)社外取締役監査等委員、芳賀文彦宮銀デジタルソリューションズ(宮崎市)社長が社外取締役となる。FHDの取締役は来年6月の定時株主総会、取締役会で正式決定する。 ●北國銀の取締役 4人から6人に 北國銀行の取締役は4人から6人に増やす。杖村氏が退任し、多田、米谷両氏、三本松温賀常務執行役員法人部長が新たに加わる。この増員について杖村氏は今後の能登の復興や金利が上がる時代などに触れ「これから銀行の役割がますます重要になる。経営陣の厚みを増して磨いていきたい」と話した。 このほかの新任、退任の役員人事は次の各氏。 ◇北國FHD▽社外取締役監査等委員 北原道夫▽同 小宮山榮▽退任 取締役常務執行役員角地裕司、取締役監査等委員鳥越伸博、社外取締役監査等委員大泉琢、同根本直子 ◇北國銀行▽社外監査役 佐藤秀樹▽退任 監査役鳥越、社外監査役玉井政利 ●指名委で議論、プレゼンも 杖村氏の後任人事「長い歴史で初」 杖村氏の後任人事は、北國FHDの取締役9人で構成する指名報酬委員会で今年に入り議論を重ね、委員会の決定に基づき内定に至った。社外取締役が過半数の5人を占める委員会では、選定の過程で複数人が候補になり、委員に対するプレゼンも行われたといい、「長い歴史の中で初めて」(杖村氏)という。 ●人間性や学ぶ姿勢など重視 杖村氏は後任の選定に当たり、人間性と学ぶ姿勢、コミュニケーション能力、構想力の4点を重視したとし「四つのポイントの総和が一番大きい人を選んだ」と説明した。 北國銀の会長に就く多田氏と、社長の米谷氏の役割分担については「一番は社長、あとは特に序列はない」と述べ、会長は社長を補佐する役割だとした。社外取締役は地元の企業経営者らが就くケースもあるが、県外企業の社外取締役などを担う専門家を起用し、「ブレーキ役、リスクチェックだけでなく、執行側を後押ししてもらいたい」と述べた。 2020年6月、安宅建樹氏の後任として頭取に就いた杖村氏。就任後は地元の顧客との対話の時間が思うように確保できなかったのが心残りだとし「新社長はこの反省を生かして頑張ってくれると思う」と期待した。 バトンを引き継ぐ米谷氏は、金沢経済同友会副代表幹事などを務めた米谷恒洋元北國銀副頭取を父に持ち、兄は米谷俊泰小松マテーレ常務。北國銀の前身である米谷銀行を設立した米谷家とのつながりを問われると、「私は創業の米谷家とは関係なく、たまたま同じ名字」と笑顔で答えた。地元・小松市でFHDが構想するアリーナ建設については「楽しみにしている」と述べた。 新体制では杖村、多田、米谷の各氏がいずれも小松市出身となるが、杖村氏は「結果的にそうなった。出身地は全然気にしていない」と述べた。