有名ロケ地の名物カフェが鎌倉から消える?オーナーは「こんな統一性のない理由づけで…」と不快感
この問題に関してはくりはら市議だけでなく「公正、慎重に検討すべきだ」という意見の市議会議員も多い。しかし、松尾崇・鎌倉市長(50)は5月の会見で、 「きっかけは耐震性の不足だが、一等地を優先的に利用している状況も見直したい」と発言。理由付けを「耐震不足→市有地利用の見直し」に変化させながらも、あくまでも立ち退き、解体を推し進める姿勢を誇示している。 市長のこの発言に対して吉澤社長は、 「最初は耐震検査で『不適合だから出ていけ』ということでしたが、いつのまにか話は大きく変わり、『独占的に毎年更新している。あまりいい状況じゃないから退去しろ』と。なぜ、こんな統一性のない理由づけで市は退去を迫るのですか。行政の長のすることでしょうか」と不快感を示している。 一方の鎌倉市みどり公園課は「立ち退きの動機は変わっていません」と、あくまで建物の耐震性能不足だと主張する。 「鉄骨造部については柱梁(ちゅうりょう)結合部の状態が悪く、耐震性を表すIs値が基準値0.6に対し診断結果では0.43しかなく、耐震性を有していないことが判明しました。そのため、大規模の地震に対し鉄骨造部分が倒壊する危険性があり、その場合、客席の大部分が鉄骨造部分に配置されていることから、人的被害の発生が懸念されるものでした。耐震工事等の補強や修繕等により新たな資本を投下してまでも、レストハウス(ヴィーナスカフェ)を存続させることは合理性に欠け、また環境の変化に伴い一者に独占的に使用させ続けることも公平性に欠けると考えたため、退去していただくと判断したものです」 また、「ヴィーナスカフェ」の観光的、文化的価値を市としてはどのように評価しているのか?と聞くと、 「評価していません」と断言した。 「鎌倉市がレストハウスとして営業をお願いしてきたからこそ、70年を超える歴史ができたわけです。他にも公園便益施設がありますが、ヴィーナスカフェだけに耐震診断を行ったそうで、この地域の計画があるのならまだしも、具体的なプランがない中で立ち退きを迫るというのは如何なものかと思います。ヴィーナスカフェ側と鎌倉市側の耐震診断の結果に大きな乖離があり、ヴィーナスカフェ側から今年3月に鎌倉市を訴える裁判がおこなわれています。その結果も待たずに、6月に鎌倉市側が訴訟を決定したことは、弱い者いじめと言われてもしょうがないでしょう」(くりはら市議) “湘南遺産”にはこれからもロケなどで活躍してもらいたいものだが……。 取材・文:酒井晋介
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