【大学野球】背番号18が追い求める勝利へのこだわり 下位低迷の名門・法大再建へチームの礎を築く篠木健太郎
ラストチャンスの秋こそ
早大1回戦は7回まで2対0とリードも、8回裏に3失点で痛恨の逆転負け。明大1回戦を通じ、勝負どころで真っすぐを痛打された。今春は高村祐助監督から教わったフォークらのコンビネーションが抜群。昨秋までの力辺倒からモデルチェンジし、変化球勝負も考えられたが、篠木の選択肢は一択だった。 「昨年から経験している野手は、自分の投げているピッチングを一番理解している。そこで変化球でかわしていけば『調子が悪いのか?』と察知するかもしれない。そこで『得点して援護しないといけない』といった余計なプレッシャーを与えたくないんです。だから、最も自信のある真っすぐ勝負でいくようにしている。ただ、挑む以上は、打たれないストレートに磨きをかけないといけない」 防御率1.44。明大1回戦で先発として投げ合った高須大雅(3年・静岡高)と並んでトップタイである。数字としては圧倒しているが、納得のいくものではない。昨春に続き、2度目のタイトル獲得の可能性もあるが……。 「自分としては欲しかったものではないので……。悔しい思いでいっぱい。ラストチャンスをつかめるように、秋のシーズンに向けてやるだけ。自分としても、チームとしてもやるべきことは明確。自分にできることを探して、チームの柱として大きくなっていきたいです」 篠木は「自分として、欲しかったもの」と口にした際、やや目を潤ませたように見えた。手にしたいタイトルは、言うまでもない。21年春の入学以来、一度もV経験がない。157キロ右腕には「ドラフト1位」の目標があるが、このまま卒業するわけにはいかない。 背番号18が追い求める、勝利へのこだわり。すべてを犠牲にして、本気で取り組む姿勢は、大島監督が推し進める「変革」の上で、お手本である。同級生、後輩たちは、何かを感じているはず。篠木は下位に低迷する名門・法大再建へ向けた、チームの礎を築いている。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール