危険運転罪に飲酒や高速度の「数値基準」導入案 法務省の検討会
悪質運転による事故の処罰のあり方を検討する法務省の有識者検討会が13日に開かれ、危険運転致死傷罪の適用要件の見直しに言及する最終報告書の素案が示された。あいまいさが指摘されていた飲酒や速度超過の要件をめぐり、数値基準を設けることを明記した。 【写真】その事故は「過失」か「危険運転」か 揺れる判断 導入には慎重な意見もあり、さらに議論を重ねる。報告書としてまとまり法改正の必要があると判断すれば、法務省は法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することになる。 自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷罪は、飲酒、速度超過、赤信号無視などによる死傷事故のうち特に悪質な運転を「故意犯」として処罰するもの。2001年に刑法に新設され、14年に処罰法に移された。法定刑の上限は過失運転致死傷罪の懲役7年に対し、懲役20年と重い。 ただ、事故の被害者や遺族らからは「アルコールの影響により正常な運転が困難」「進行を制御することが困難な高速度」といった条文上の要件があいまいで、適用の判断も厳格すぎるとの意見があがっていた。たとえば飲酒運転による死傷事故では、事故直前まで運転操作を誤った形跡がないことなどを理由に同罪の適用が見送られ、過失犯として処罰される例が少なくない。
朝日新聞社