これをやらないと50歳にして動きがヨボヨボになってしまう…何歳になっても「キビキビした人」の口癖
■メンタル力は余計なことを考えるだけで奪われる 私たちのメンタル力は、有限です。したがって、いろいろと余計なところに気を遣っていると、肝心なときにメンタル力を使えなくなってしまいます。 たとえば、メンタル力が100あるとして、その100を全部仕事に向ければ、バリバリ仕事がこなせるはずなのに、イヤな相手のことを考えて20を使い、週末にやらなければいけないことなどを考えて30を使ってしまったとすると、残りの50しか仕事に向けられません。 メンタル力は有限なのですから、余計なところに使わないようにするのがポイントです。 本書のタイトルには「考えすぎて動けない」という言葉が入っていますが、余計なことを考えていると、みるみるメンタル力が減ってしまいますので、行動しようという意欲が落ちてしまうのも当然といえるでしょう。メンタル力は使えば使うほど落ちてしまうことは、実験でも確認されています。 ■心配や不安もできるだけ考えないほうがいい カリフォルニア大学バークレー校のクレイトン・クリッチャーは、2人1組のペアを作ってもらい(ただし相手は実験協力者のサクラ)、細工のしてあるコイントスにより、参加者は必ずインタビューを受ける側、サクラのほうはインタビューをする側に割り振りました。 さて、インタビューを始める前に、参加者の半数には、余計なメンタル力を使わせるために「自分の性的な指向については相手に教えず、うまく質問をはぐらかして隠すようにしてほしい」とお願いしておきました。残りの半数には、そういう指示を出さず、自由に答えてもらいました。 インタビューが終わったところで、たくさんのブロックが積まれた形の図形を見て、ブロックが全部でいくつあるのかを答えるという作業をしてもらいました(子どもが遊ぶパターンブロックのようなものです)。この作業もやはりメンタル力を使います。 その結果、インタビューのときに隠しごとをするように仕向けられ、余計なメンタル力を使ったグループは、この作業での正答率は47.6%になってしまいました。 余計なメンタル力を使わなかった半数の参加者の正答率は57.8%でしたから、かなりの下落だといえます。 仕事のやる気が出ないのは、余計なことを考えてメンタル力を使い果たしてしまっているからかもしれません。 心配や不安などもやはりメンタル力をどんどん奪いますので、できるだけ考えないようにしたほうがいいでしょう。 ---------- 内藤 誼人(ないとう・よしひと) 心理学者 慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。 ----------
心理学者 内藤 誼人 イラストレーション=神林美生