典型的「中華料理全部弁当」で、満腹 中華料理の一品・一皿の量が多い弱点も克服、感じた〝地元の人に長く愛されてきた味〟 久住昌之・するりベント酒
【久住昌之 するりベント酒】 福岡県春日市という街で講演を頼まれた。 「講演」というと、何か立派なことを話すみたいだが、ボクは全国を街歩きして何か食べたことを、ボクが撮った現地写真をプロジェクターで見せながら話すだけだ。 ところが自分で言うのもなんだが、これが意外にウケるのだ。ボクは面白かったのだが、みんな面白いだろうか?と思って話すのだが、御来場の老若男女の皆さん、かなり笑ってくださる。 で、今回の春日市講演の本番前に控室ででた弁当がこれ。 蓋を開けたらびっくりの正統中華弁当。 こういう弁当久しぶり。見るからに中華。見えるおかずはみんなが知ってる中華料理のスタンダードメニューのオンパレード。 黒胡麻のかかったごはんの右にエビチリ。その隣は青椒肉絲だ。 左上は酢豚だろう。その横の漬物はなんだろう、でも絶対に中華の漬物である。 右に行って春巻き。鶏の唐揚げ。カボチャとナスとレンコンの揚げ物。これは天ぷらっぽいが、やっぱり衣が日本の天ぷらと違う。そして胡麻団子。 漬物以外、料理名を全部すらすらと言えた。しかし、これらの料理が一堂に会した食事をしたことがあるだろうか。おそらくボクはない。 講演前だからアルコールは口にしないが、軽くビールで乾杯してから食べたいような弁当だ。 まずはエビチリを食べた。海老、プリプリ。ほとんど辛くない。このエビチリ、自分から頼んだことはない。でもこうして食べると、おいしい。人気なのがわかる。でもボクは一皿いらない。これくらいで十分。 そう、中華料理の弱点は一品、一皿の量が多いことだ。だから円卓の中華料理を食べに行くなら、最低3人以上で行きたい。だからなかなか行けない。 この少量の青椒肉絲もありがたい。これがまたうまい。白いごはんに合う。そしてその白いごはんがおいしい。 次はやっぱり酢豚だろう。豚肉がデカイ。しっかりしている。この豚の見応えとトロミが酢豚の醍醐味だ。噛み締める充実感。ほのかな甘酸っぱさ。酢豚の中のニンジンと玉ねぎも大好きだ。 いやぁ、いいなあ。小さな春巻きをひと齧りする。まだパリパリっとしている。ミニ春巻きも嬉しい。