<日笠陽子×上坂すみれ>「SHAMAN KING FLOWERS」 収録でぶつかった壁 喉と命を削って全力で
-ー「FLOWERS」の印象は?
上坂さん 武井先生が花を息子のように可愛がっているんだ……と伝わってきます。私はアルミの気持ちで読んでいて、アルミは作中最強キャラのような立ち位置ではあるのですが、計り知れないところがあります。その力をむやみやたらと使うわけではなくて、花の暴走を止めるためだけに使います。自分が戦うのではなく、総監督であるという超越的なキャラなんです。武井先生のユーモア、計り知れない超展開が合わさって、次はどうなっちゃうんだろう?と全く予想が付かなくて、ワクワクします。「SHAMAN KING」を初めて読んだ時と同じ気持ちになれる作品です。個人的には(麻倉)葉羽さんと路菓さんの技名がとてもふざけていて、でも二人はそれを真剣にやっていて、それを誇りに思っています。そういうところも「SHAMAN KING」ワールドのすてきなところで、大人になって読んでもワクワクします。
◇転機になった瞬間
--花を演じる中で意識したことは?
日笠さん 私自身は男の子役の経験がそんなにあるわけではなく、七色の声を持っているわけでもなく、技術が高いわけでもないので、葉と一緒だと思われたくないみたいな感情が強くて、葉と変えなければ!と第1回の収録に臨みました。自分で花の演技を作って持っていき、気合を入れていました。私が音響監督さんに絶対に言われたくない言葉があって、それは「それっぽくやってるだけ」という言葉なんです。第1回のテストが終わった瞬間、それを言われてしまい、ショックでした。どうしよう!?とガラガラ崩れていくような感じがしまして。「葉と変えようとする気持ちが前に出すぎていて、それは花じゃないから」と言われ、へこみました。諦めずに何度もテストをしました。
--テストを重ねる中でキャラクターが固まった?
日笠さん 葉とは違う部分が自分の中で浮き彫りになっていきました。収録前は葉から見て、花はこういう子供であってほしいみたいな像を作り上げていたんです。ワチャワチャしていて可愛く、生意気を言っている中学生のようなキャラ作りだったんですね。花自身は可愛いと思われたいとは思っていない。音響監督さんからの指摘がすごく悔しかった気持ちが、花の感情とリンクして、それがいい方向に作用した、と自分では感じていました。すごい勢いで花に入り込んだ故に、ぶち当たる壁もありまして……。