新潟を初の決勝に導いた松橋力蔵監督の人間力。真摯な姿勢で選手を導く妥協なき“モチベーター”【番記者コラム】
練習前に筋トレ、練習後に10キロのロードワーク
引き締まった体躯がストイックさを物語る。 新潟を率いて3年目。選手から「リキさん」と呼ばれ親しまれる松橋力蔵監督は、夜明けとともにクラブハウスへやってきて筋トレに勤しむ。練習後には10キロのロードワーク。敵地への移動を控えた日は時間短縮のためロードバイクも駆使するなど有酸素トレーニングも欠かさない。食事は低カロリー、高タンパクを意識し、単身赴任のため毎日自炊。空き時間は、とにかくサッカーを見ているという。読書家でもあり、兵法や経営学など様々な分野の本を読む。それゆえ選手や報道陣に語る言葉は表現力豊かで心に響く。 【画像】凄まじい声援で最高の舞台を作り出し、最高の試合を演出したアルビレックス新潟サポーター! 指揮官が妥協なき姿勢を示すからこそ、選手の意識も高まる。今夏に加入した橋本健人は「今まで3クラブでプレーしてきたけど、新潟は練習前の準備から真面目に取り組む選手が多い。だからロッカールームには真剣な雰囲気が流れている」とチームの印象を述べる。 いわば背中で多くを語る松橋監督は、選手をモチベートする術にも長ける。初めてプロ監督に就任したのは22年。アルベル前監督から託されたJ1昇格のミッション達成に向け、彼は立ち上げ時のミーティングで1枚の写真を提示した。それは21年のホーム最終戦後に撮影したチームの集合写真。コロナ禍による入場制限もあったが、背景には客足がまばらな寂しいバックスタンドが写っていた。その写真をプロジェクターで見せながらこう語りかけた。 「ここを満員にして、最後に笑顔で写真を撮ろう」 目的達成のために各々が何をすべきか――。具体的に「これをしろ」と強制するのではなく、メッセージ性のある訴えによって、選手自身による主体的な行動を促した。 例えば主将の堀米悠斗は、シーズン終了まで好きなラーメンと酒を断った。そしてサッカーにすべてを注ぎ、J1昇格を叶えた。結果が出たため、以降もプロとしてその生活習慣を持続している。 今季の新体制会見で、松橋監督は「てっぺんを目指す」と明言。リーグ戦こそチームも苦戦しているが、明確な目標を示して力を尽くし、ルヴァンカップでの大躍進に大きく貢献した。
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