【プロvs素人】データを重ねたら一目瞭然! フォーミュラカー走行で実力差の出るポイントは一体どこなのか
『データロガー』――。モータースポーツ好きであれば、一度はその名前を聞いたことがあるだろう。文字通り車両の走行データをログ(記録)する装置であり、そこで得られたデータはレースでクルマを早く走らせるため様々な形で活用される。しかしそのデータはどう読み解くものなのか? そこまでは知らない方が多いのではないだろうか。 【オンボード動画比較】フォーミュラカー、ムズ過ぎんだろ……! 編集部員が1周30秒弱のコースで伊藤大輔に大敗した【プロvs素人】 今回、名門レーシングチームのトムスが主催するフォーミュラカーのドライビングを体験できるプログラム『トムス・フォーミュラ・カレッジ(TFC)』を体験する機会を得た。このプログラムは2023年まで日本のFIA F4選手権で採用されていた『DOME F110』を、富士スピードウェイの大型駐車場に設けられた特設コースで実際にドライブすることができるもの。3年前のサービス開始時には初級~中級者向けの『エクスペリエンス・コース』を受講したが、今回は中級~上級者向けの『アドバンス・コース』を受講させてもらった。 走るのはエクスペリエンス・コース、アドバンス・コース共にパイロンコースだが、フォーミュラカーの運転・操作方法を基礎から教わる約30分のエクスペリエンスは違い、アドバンスはスキルアップに特化した3時間枠のみっちりコース。7分程度の走行を2本行ない、それを3セット繰り返す。さらに各セットのインターバルには、車載映像やデータロガーを使ったコーチングが受けられるという贅沢なプログラムだ。お値段もエクスペリエンス(8万8,000円)と比べると高額(27万5,000円)だが、走行時間の長さや体験価値、そして本来F4車両を所持・メンテナンスする際に必要なコスト等を鑑みると納得の価格とも言えるのではないだろうか。
富士スピードウェイ駐車場に特設パイロンコースを設置
アドバンス・コースのコーチについてくれたのは、スーパーGTの昨季シリーズチャンピオン、TGR TEAM au TOM’Sの伊藤大輔監督。今回のパイロンコースも伊藤監督が試行錯誤を重ねた末のレイアウトということで、1周30秒弱と短いながらも、ドライビングスキルが問われる“いやらしい”コーナーばかりである。 伊藤監督からの事前レクチャーを受けた後、いざコースへ。恥ずかしながらエンストをかました後(※)、ペースカー先導の後に走行開始となったが、最初のコーナーで派手にスピン。この時点で心が折れかけた。 (※レーシングカーはいわゆる「半クラッチ」領域が狭く、雑にクラッチペダルを離すとすぐにエンストしてしまう。ただ伊藤監督からの『半クラでクルマが動き出したら、もう一度クラッチペダルを踏み返すイメージ』というアドバイスによって、エンストの数もかなり減らすことができた) 走行中は伊藤監督から無線で、スピンの原因に関する考察やライン取りが良かったor悪かった場所などのリアルタイムアドバイスを受け、走行後にはさらに詳細なフィードバックを受ける。この日の最終的なベストタイムは、伊藤監督が記録したタイムから1秒~1.5秒落ちほどであった。 ただ、1周30秒を切るこの短いコースで1周1.5秒遅いというのは、褒められたものではないだろう。走行後には配布されたロガーデータを伊藤監督の解説で見ていったが、“プロ”と“素人”の差はデータによって丸裸にされてしまっていた。
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