宇宙飛行士は地球にいる人々よりも歳を取るのが遅い…その理由を解説（海外）
どの時空にいるかによって、時間の流れ方は違ってくる。 国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士の場合、地球上にいるよりも歳を取るのが遅くなる。 【全画像をみる】宇宙飛行士は地球にいる人々よりも歳を取るのが遅い…その理由を解説 ただし、それはほんのわずかで、コンマ数秒に過ぎない。 宇宙飛行士のブッチ・ウィルモア（Butch Wilmore）とスニ・ウィリアムズ（Suni Williams）は2025年2月まで国際宇宙ステーション（ISS）に閉じ込められているが、最悪の事態ばかりが起きているわけではない。 宇宙で過ごすことには、壮大な景色が眺められたり、すばらしい仲間と一緒にいられたりと、さまざまな特典がある。しかし、あまり知られていないのが、年を取るのが遅くなるという効果だ。 宇宙にいると、地球上にいる人よりもゆっくりと年を取る。ただし、その差はごくわずかなもので、ISSで半年間過ごした宇宙飛行士は、地球上にいた人よりも約0.005秒だけ年を取るのが遅くなる。 つまり、ウィリアムズとウィルモアは、予定より約9カ月長く宇宙に滞在した後に帰還した場合、予定通り6月に帰還した場合よりも約0.0075秒若返ることになる。 これにはいくつかの科学的な理由があり、すべてはアルバート・アインシュタイン（Albert Einstein）の相対性理論から始まる。
「重力による時間の遅れ」により、宇宙飛行士は速く年を取るはずだが…
「時間は相対的」というフレーズを聞いたことがあるかもしれないが、それが実際に何を意味するのかを理解するのは難しいだろう。 このフレーズはアインシュタインの「相対性理論」から来ており、彼は空間と時間を結びつけ、宇宙全体に広がる「時空」という概念を生み出した。 時空が異なると、時間の流れ方も変わってくる。それは時空が平らではなく、曲がっていて、物質やエネルギーによって歪むと考えられているからだ。 そのため、「重力による時間の遅れ」という現象が引き起こされる。時間は、質量の大きな物体に近いほど遅く進む。その物体の重力が時空を歪ませるからだ。 例えば、足首と手首に時計を装着したとすると、足首の時計の方が地球の重心に近いため、手首の時計よりも遅れて進む。ただし、その影響は極めて小さく、実際に気付くことはない。 「重力による時間の遅れ」の観点からすれば、ISSにいる宇宙飛行士は、地球から高度420kmほどの上空にいるため、地上にいる我々よりも速く年を取るはずだ。 しかし時間とは奇妙なもので、重力の影響を上回る「相対速度による時間の遅れ」という別の現象がある。
