ロ軍が東部で大規模攻撃に相次ぎ失敗 消耗で攻勢鈍化、ウクライナ側も余裕なく
ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州ドネツク市のすぐ西のクラホベ市方面で、ウクライナ側の前線を突破しようと躍起になっている。9月12日には、当時この方面で過去最多の車両46両を投入して攻撃した。1週間後の19日、ロシア軍はそれを上回る52両の車両を投じて攻撃した。 いずれも失敗に終わった。ドネツクとクラホベの間にある陣地を保持するウクライナ空中強襲(空挺)軍第46独立空中機動旅団は、テルミット焼夷剤散布ドローン(無人機)、通称「ドラゴンドローン」、大砲、戦車、歩兵などを駆使して応戦し、ロシア軍の車両計98両のうち44両を撃破するか無力化するか、もしくは損傷を与えた。また、19日だけでロシア軍の人員72人を殺害したり負傷させたりして失わせた。 第46空中機動旅団は12日の攻撃後、ソーシャルメディアに「逃げおおせた敵については運がよかったのだと考えておこう。彼らは当面は生きられるだろう」と記したうえで、「だが長くはない。次の激しい戦闘までだ」と続けていた。 人員や装備のこうした途方もない消耗は、ロシア軍によるウクライナ東部での攻勢に重くのしかかっている。この攻勢では現在、クラホベの北西30kmほどに位置し、ウクライナ軍が要塞化しているポクロウシク市の攻略に主眼が置かれている。 ロシア軍が昨年後半に始めた現在の東部攻勢は、つい最近まで着実に進展していた。ロシア軍部隊は今年2月半ばに、同じくウクライナ側の要塞都市だったアウジーウカを陥落させたのに続き、激しい攻防を経ながらポクロウシクに向けてさらに西進し、先月末には同市まで10kmほどに迫った。 しかし、それから数週間経過した現在、ロシア軍部隊はまだポクロウシクまで10kmほどの場所にとどまっている。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は先週初め時点で「ポクロウシク方面のロシア軍の前進は鈍化している」と説明している。 これは、ほかと関連性のない特殊な事態ではない。CDSによると、南部のザポリージャ州方面でもロシア軍の攻撃ペースが落ちている。また、ウクライナ軍が先月に侵攻して占領したロシア西部クルスク州の突出部でも、ロシア軍が乗り出した反撃が停滞している。CDSはザポリージャ州でのロシア軍の攻勢鈍化について「複数正面で同時に攻撃を行うリソースの不足」を原因に挙げている。