12歳の少女が見た昭和49年 超能者ユリ・ゲラーは世の中に役立つことをしてほしい プレイバック「昭和100年」
私はスポーツよりマンガを読むのが好きで「週刊マーガレット」でやっていた「ベルサイユのばら」の大ファンだ。だから今年初公演が行われて大ブームになった宝塚歌劇団の「ベルばら」を見に行きたいが、私のお小遣いでは無理だし、東京公演のチケットの窓口は朝からすごい行列らしい。物価はどんどん上がっているのに、人が集まる所には集まっているのだ。
11月には千葉の木更津沖の東京湾で「第十雄洋丸」という中東から戻ってきたタンカーが別の船と衝突して炎上、30人以上が亡くなる事故もあった。プロパンやガソリンのようなものを積んでいたため火はなかなか消えず、20日近くも漂流して最後は自衛隊などの砲撃で沈められたそうだ。エネルギー危機と言っているときだけに何だかやり切れない事故だった。
学校ではようやくスプーン曲げをする子は見かけなくなった。物価の値上がりも、過激派のテロ事件も、タンカーの事故も、ついでに「ベルばら」のチケットも、私に超能力があれば全部解決するのに。ユリ・ゲラーもスプーン曲げだけじゃなくて、もっと世の中の役に立つことをしてほしいと思う。
※最大の被害を出した三菱重工ビルをはじめとする連続企業爆破事件は翌年5月に犯行グループの東アジア反日武装戦線のメンバーが逮捕されるまで相次いだ。裁判中、日本赤軍のハイジャック事件で犯人の一部が超法規的措置で釈放され、現在も2人が国際手配されている。