大阪の天神橋筋商店街「長さ日本一」から陥落? 東京側の首位宣言に「インチキ」の声も
日本一長いことで知られる「天神橋筋商店街」(南北約2・6キロ)に挑むかのように11月、東京・浅草の商店街が「長さ日本一」を宣言した。4つの商店街が集まって「東京国際通り振興会」を発足させたもので総延長は約3キロ。ただ日中は歩行者専用となる天神橋筋商店街と違ってアーケードはなく、商店は片側3車線の道路の両脇に並ぶ。東京側の首位宣言に、地元・大阪の人々からは「そんなんアリなんか」「インチキやないか」といった声が漏れる。 東京国際通り振興会は、「一葉桜開運振興会」「一葉桜国際通り振興会」(計約1・3キロ)と「浅草国際通り商店街連合会」(約850メートル)、「蔵前商店街」(約800メートル)の4商店街約280店舗で構成され、東京メトロ三ノ輪駅から都営地下鉄蔵前駅付近までを南北に結ぶ。昭和57年に閉鎖された「浅草国際劇場」にちなみ、辺りは国際通りと呼ばれるようになった。 11月20日には、それぞれの組織を残した上で、新しい振興会が発足。その狙いについて初代会長の小倉光清さん(72)は「4つの商店街が連携して地域活性化につなげられないかと考えていた。今後はイベントなどを一緒に企画していきたい」と意気込む。 天神橋筋商店街の存在については「アーケードが連なる天神橋筋商店街とは比べようがない」としつつ、「(東京側が)日本一長い商店街になったことだけは確かだ」と自信ありげだ。 こうした東京側の強気姿勢に、大阪側では反発の声も。天神橋筋商店街で飲食店を営む男性(63)は「つぎはぎで大きくなった商店街が、何で日本一やねん。インチキやないか」。商店街の近くに住む女性(36)も「何を言おうが天神橋筋商店街が日本一です」と語気を強める。 天神橋筋商店街は、淀川のほとりから舟運で栄えた大川沿いまでほぼ直線のアーケードが続き、店舗数は数百を数える。その歴史は長く、1千年あまり前に創建したと伝わる大阪天満宮の門前町がそのルーツだ。 江戸時代には大川沿いにある現在の南天満公園の辺りに「天満青物市場」が開設された。町人や商人を中心とする文化が花を咲かせ、明治以降も「民」の力が界隈(かいわい)の発展を牽引(けんいん)。商店街も延びていった。
天神橋3丁目商店街振興組合の田代和生理事長は「天神橋筋商店街は大阪天満宮に通じ、歴史ある商店街として定着している。東京国際通り商店街とは違う」と述べ、東京側の日本一宣言をさほど気にする様子はなかった。(格清政典)