「正直びっくりするギャラも」吉田豪、オールドメディアの仕事を受け続ける理由…20年前から「喋れないと食えない」ことに気づいていた
20年前から「喋れないと食えない」ことに気づいていた
そもそもキオスクもなくなって書店も激減してコンビニでも雑誌を置かない店が増えて、雑誌コーナーがある店でも立ち読みしている人が皆無になって、そんな状況下で雑誌という文化がいまでも生き残っていること自体が奇跡だと思うんですよ。ボクは紙媒体への思い入れもあるし大好きだけど、「雑誌を灯を消すな!」みたいな戦いをしたいわけではない。むしろ時代の流れには逆らえないっていう諦めの方が強いんですよ。雑誌の原稿料を上げろみたいな文句も言う気は一切ないですね。だって、昔よりも全然売れてないし、予算もないんだから。 正直、20年ぐらい前から「喋れないと食えない時代になってきた」とは思っていて、紙媒体が減っていってもラジオやイベントの仕事があったのは大きかったんですよ。いろんなライターに喋り仕事のオファーは来たはずなんですけど、なんか声のトーンが暗いとか、そもそも人前に出るのが苦手とか、対応できずに消えていった人も結構いました。 いまはラジオもギャラが下がっていって、一方で調子が良いのがリアルのイベントという状況ですよね。かつては権威のあった音楽誌『ROCKIN'ON JAPAN』でもフェスが億単位で稼げるっていうのがわかって、雑誌の方は“フェスの宣伝媒体”としての役割に回りました。いろんな週刊誌も便乗してフェスイベントとかやってるんですけど、読者層と全然違う人向けのアイドルイベントを開いていたり、ズレていることをしているのを見ると結構つらい気持ちになります。これが起爆剤になることはまずないだろうなって。