「私たちが死んだ後はどうなるのか」元チャットモンチー・福岡晃子 4歳の息子が発達障害と診断され「その場で泣いてしまった」
── ちなみに支援学校の子どもたちへのライブは、どんなところがよかったですか? 福岡さん:今までにない音楽の力を目の当たりにしました。子どもたちがお客さんとなってライブを観てくれましたが、みんなメチャクチャ近くまで寄ってきて踊るんですよ。もちろん今までたくさんライブをやってきて、どれも素晴らしかったんですが、みんな程よく周りに気をつかうとか、人との距離間を考える人たちの前でライブをすることが多かったんです。でも、支援学校のライブでは周りのことなんて気にしない。前にギュッと寄ってきてくれて、今までにない音楽の側面を感じたというか。子どもたちの気持ちが嬉しくて、その後も継続して活動をしていました。
── 周りの人には息子さんの診断を伝えましたか? 福岡さん:身近な人や近くに住んでいる人には伝えました。夫婦でも話しましたが、うちの子が自立できないなら、味方を増やすしかない。早く知ってもらって、何かあったときは協力してもらえるようにしておいた方がいいねって。上の世代の人たちは「治るんでしょう?」「病院に連れて行けばよくなるんでしょう?」といった反応もあったし、若い世代の人たちは学校にもそうした子がいるとか、自閉症の特性を知っている人も多かったですね。
── 自閉症と受け入れられたのはいつくらいからですか? 福岡さん:診断されて1週間後くらいには、気持ちが落ち着いてきたと思います。いろいろな情報や資料を調べながら、子どものことをもっと考えられるようになったのはよかったのかなと思います。すぐに全部受け入れるのは無理だとしても、徐々にですね。もともと切り替えは早い方なので、自分にとって1週間は長い方でした。夫も診断を受けるまでいろいろ考えたようですが、もっと切り替えが早かったです。時間と共にやるべきことが見えてきたんだと思います。
PROFILE 福岡晃子さん ふくおか・あきこ。1983年生まれ徳島県徳島市出身。2002年よりチャットモンチーのメンバーとして活動し、2016年に徳島にイベントスペース「OLUYO」を開設。2018年にチャットモンチー完結後、2020年に完全に徳島に移住。ソロアーティストやバンドのプロデュース、作詞作曲などを手がける。結婚して1児の母。 取材・文/松永怜 写真提供/福岡晃子、weathershop
松永怜