「オリンピックに出るので会社休みます」 嶺井家300人が大集合!96歳からベビーまで 奥武島で五輪開催 【どローカルリポート】沖縄
パリから遠く約1万キロ離れた南城市玉城の奥武島で13日、五輪の熱気をほうふつさせるスポーツ大会が開かれた。4年に一度、五輪の年に開催される「嶺井藤八・ウシ記念オリンピック」。出場選手たちは故藤八さん、ウシさんの子孫たち嶺井一族総勢310人。最高齢は2人の三女のシゲさん96歳、最年少は6世代目で「やしゃごの子(来孫)」にあたる0歳児だ。 【動画】奥武島でオリンピック 嶺井家300人が大集合!96歳からベビーまで
嶺井一族が一堂に集い、故郷の奥武島で親族の親睦を深めた。シゲさんは「親族の結束力は誇り。次回は百才、楽しみにしている」と長寿を約束する。 藤八さんの子は四男三女7人。現在は6世代目の来孫(らいそん)まで広がり、配偶者らを加えた一族は400人を超え、プロ野球選手(福岡ソフトバンクホークスの嶺井博希選手)や県議会議員を輩出している。会場に張り出された家系図は長々と約7メートルにも及ぶ。 嶺井オリンピックは親族の交流を目的に1996年に初開催。2020年はコロナ禍で中止となり、8年ぶりの第7回大会となった。孫の世代を中心に運営してきたが、今大会はひ孫、やしゃごの世代の実行委員らが中心となり下準備や予算管理まで全て親族の有志らで行った。 大会1週間前には漁師らが夜の海に船を出し、刺し網漁を実施。水揚げした魚は港で仕分け作業などを行い、懇親会で振る舞った。孫の嶺井忍さん(72)は「単なる運動会ではない。先祖の暮らしや奥武島の文化に触れ、自分の生いたちを知る機会になっている」と強調する。
オリンピックの競技は世代間の交流が図られるよう工夫をこらす。「みーとぅんだ(夫婦)リレー」「むぬかんげー(物考え)○×クイズ」と、ウチナーグチを競技名に取り入れ、孫や県外出身者が祖父母らに意味を尋ねるきっかけを作るなど交流を促す。競技は真剣勝負。一家ごと6チームに分かれ赤ちゃんから高齢者までが13種目で熱戦を繰り広げた。島草履を遠くに飛ばしたかと思えば、妻を背負って疾走、和気あいあい、笑顔はじける大会となった。 神奈川県から参加の城間勝也(37)さんは「『オリンピックに出場する』と言って会社を休んだ。久しぶりにみんなの顔が見られてうれしい」と笑う。大分県から駆けつけた嶺井則夫さん(69)は「嶺井家の繁栄があれば奥武島に少子高齢化はやってこない」と赤ら顔で力説する。終了後の大懇親会では、終わりの見えないカチャーシーが続き、大盛況で幕を閉じた。 実行委の嶺井藤哉さん(44)は「交流が一番。親族の絆を引き継いで、また次の世代につないでいくことが大切。オリンピックを機会に親族の和がより一層広がるよう励みたい」と日に焼けた顔に達成感をにじませる。
(高辻浩之)
The Ryukyu Shimpo Co., Ltd