うちの猫が「猫又」に!? 妖怪と人間が暮らす“多様な世界”マンガが今生まれた理由
20年間生きてきた猫のしっぽが2つに分かれて、妖怪「猫又」になっちゃった……!? 妖怪と人間と神様がともに暮らす町で、ある日突然、「猫又」として第2の生を歩み始めることとなった長寿猫・ぶちおの“ふしぎで優しい日常”を描いた、nohoさんのマンガ『となりの妖怪さん』(イースト・プレス)。 【マンガを読む】「多様性」とよく聞く今だからこそ読みたい!『となりの妖怪さん』 現在、TVアニメ化も果たし(毎週土曜深夜2:00より放送中)、ぶちおの声を人気声優・梶裕貴さんが務めていることでも話題に。 そんな原作漫画『となりの妖怪さん』はいったいどのようにして生まれたのでしょうか? 著者のnohoさんに作品が生まれたきっかけや、個性あふれるキャラクターたちを描く上で意識されてきたことなどについてお話を伺いました。 マンガ/noho 文/FRaU編集部
「ウチのネコ、猫又になるかもしれんくて…」
▼あらすじ 「ウチの猫、猫又になるかもしれんくて……」 妖怪と人と神様が、ふつうに暮らす田舎町の日常は、のんびりほのぼの、ときどき不思議。ある夏、20歳の長寿猫・ぶちおは、突如進化して猫又になる。「自分が妖怪になった理由」を探して思い悩むぶちおは、化け狐の百合に、「化け学」を習いはじめるが……。 お山を守る脱力系カラス天狗・ジローと少女むーちゃん。「天狗の仕事」をこっそり覗き見していたむーちゃんは、別人のようなジローの姿を目にする。 そんなとき、町には不吉を呼ぶ「鵺」が現れたと噂され―― ーーどんなきっかけで本作が生まれたのでしょうか? 2017年の8月、カラス天狗のお兄さんと人間の女の子がバス停に立っているイラストと一緒に、3ページの漫画をX(当時はTwitter)に投稿しました。それが、『となりの妖怪さん』の元になる一番初めの物語でした。この投稿には元々目的があって、同じ年にフリーランスのイラストレーターに転向して、仕事に繋がるようにSNSに作品をどんどん載せていこうという思惑がありました。その中のひとつの投稿が、結果的に大きな仕事に繋がることになりました。 ーー人間と妖怪たちが一緒に暮らす世界、という設定はどのように考えついたのでしょうか? 初めの3ページの漫画で、カラス天狗のお兄さんと人間の女の子……ジローとむーちゃんのやりとりを描いているうちに、自然と浮かんできました。子供の頃から、人間と人ではない存在が仲良くなるお話が大好きでした。おそらく『映画ドラえもん』の影響が強いと思うのですが、小学生の時に拙いながら初めて描いた漫画も、言葉を話す動物たちと人間の女の子ふたりが冒険するお話だったと記憶しています。昔から好きなものが全く変わっていませんね……。 ーー本作を拝見していて、人間も妖怪も、お互いの個性を認め合えていてとても素敵な世界だなと感じたのですが、この作品をご執筆するにあたって、nohoさんが込めた思いなどがあればぜひ教えてください。 『となりの妖怪さん』は、妖怪さん以外にも人間を含め様々な種族がいる世界です。それぞれ体質や性質や生き方など、違うところはたくさんあるけれど、神代のころよりはるか昔から、お互いのことを知っていくことを繰り返してきました。でもけっして理想郷ではないんだろうなと思っています。 現実の世界では、『多様性』という言葉をよく耳にするようになりましたが、元々この世界も多様に満ちていて、近年は個々の違いを発信したり、それを受け取って知ろうとしているところに来たのかもしれない、と考えています。「知っていくこと」は辛いこともあるけれど、続けていくことで何かが変わるかも。……そんなことをほんのちょっぴり込めながら描きました。 ーー本作をどのように読者に楽しんでほしいですか? それぞれ、好きなように楽しんでいただければ嬉しいです。星の数ほどある漫画の中から手に取っていただけるだけでも大感謝なので……! 漫画家としてはまだまだ修行の身で、読みやすい漫画を目指して試行錯誤をしています。実はその苦労の後がそれぞれの巻に見えますが……そのあたりは気にせず読んでいただけたら幸いです。そして、たくさんの方々のお力添えがあり一つの漫画作品を出せたこと、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございます……! 4巻で完結後、2023年8月には待望のスピンオフとなる『となりの妖怪さん外伝 (上)』も発売されている本作。ぜひこの機会に、アニメと共に原作漫画も読み直してみてはいかがでしょうか? FRaU webでは特別に1巻1~2話を無料公開中! こちらもぜひチェックを! ▼本でも読みたい方はこちら!
FRaU マンガ部/noho