転職に家庭環境の変化 節目の1年を駆けた元新幹線運転士・フィジーク王者、世界Vの先に見る目標とは
スタイリッシュでスポーティな筋肉美を競うメンズフィジークにおいて、国内身長別4連覇、無差別3連覇の実績を誇る伊吹主税(いぶき・ちから/33)。彼は12月17日~19日に開催された「IFBB男子ワールドカップ」において、メンズフィジーク173cm以下級で金メダルを獲得した。 【写真・動画】丸々とした肩で魅せる伊吹のフィジークボディ
「びっくりと安心が入り混じっていますね。ステージに立っている時は、優勝はできないだろうなと正直思ったんです。審査基準が国内と違うので、審査員がどこを評価するのかは不安でした。結果こうして1位を獲れてよかったです」 9月のオールジャパン選手権(身長別)、10月のグランド・チャンピオンシップス(無差別)と国内連戦を戦い抜いた伊吹。グラチャンからワールドカップまでは約2か月空いたものの、その中でも調整をやり切り、体重70.4kgのコンディションをキープ。昨年追求してきた「フィジーカーとして評価される体」、そして今年のテーマである「自分の好きな体」、それぞれの良さが反映されたボディをつくりあげ、国内外で輝きを放った。 ステップを上がった伊吹だが、2024年は節目の年だった。2023年11月に長く務めた新幹線運転士からトレーナーへ転職し、よりトレーニングに注力するとともに、フィットネスの魅力を多くの人に伝えるべく邁進した。 転職と子どもが産まれる時期が重なったこともあり「奥さんからしたらヒヤヒヤだったと思います」と振り返るが、その中でやるべきことをやり切り、家庭・競技の両方を大切にして結果も出すという、最高の形で1年を締めくくった。進化を続けるフィジークキングは、これからも高みを目指して挑戦を続けていく。 「次はやっぱり世界選手権で色のついたメダルを獲りたいですね。過去、世界選手権では5位、6位と色のついたメダルを獲れていないので、これからも国内戦をしっかり獲りつつ、次のステップに進んでいきたいです。今回、世界でも評価してもらえる手応えは多少つかめたんですけど、日本人対決になったオーバーオール審査では評価されていないので、背中の広がりやミッドセクション(腹筋)の出し方など、まだまだ欠点があると思います。2025年はそこを突き詰めていきます」
取材・文/森本雄大 写真/木村雄大