4年に1度の「マイコプラズマ肺炎」が全国で感染拡大中 東京では“過去最多”の患者数
国立感染症研究所は、直近1週間で報告されたマイコプラズマ肺炎の1医療機関あたりの患者の報告数が1.48人と発表しました。マイコプラズマ肺炎の患者数は、4週連続で増加しています。このニュースについて中路先生に伺いました。 【イラスト解説】流行中の「マイコプラズマ肺炎」厄介な特徴とは
マイコプラズマ肺炎の感染状況とは?
編集部:今回ニュースで取り上げられたマイコプラズマ肺炎の感染状況について教えてください。 中路先生:国立感染症研究所は、2024年9月16~22日の1週間に全国約500の定点医療機関から報告された、マイコプラズマ肺炎の患者数を明らかにしています。 この報告によると、マイコプラズマ肺炎の1医療機関あたりの患者の報告数は全国平均で1.48人となり、4週連続で増加していることがわかりました。これは、昨年の同時期と比べて37倍の患者数です。また、過去10年で最多ペースになっています。 1医療機関あたりの患者の報告数が最も多くなったのは福井県で、3.33人でした。次いで岐阜県と東京都がそれぞれ2.8人、茨城県が2.69人、大阪府が2.61人と続いています。 1医療機関あたり2.8人の患者数を記録した東京都では、これまでに2011年の2.64人、2016年の2.12人と流行した記録があります。今回の2.8人という患者数は、統計が開始された1999年以降で過去最多となりました。 東京都の感染者の年齢を見ると、最も多いのが5~9歳で46.7%、次いで10~14歳で22.6%となっています。患者の90%以上が10代以下だったとのことです。
マイコプラズマ肺炎とは?
編集部:過去10年で最多ペースの感染状況になっているマイコプラズマ肺炎ですが、どのような病気なのでしょうか? 中路先生:マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで発症する呼吸器の感染症のことです。報告された感染者の8割は14歳以下ですが、成人の感染報告もあります。 マイコプラズマ肺炎は、周期的に大流行を起こすことが知られており、日本では4年周期での流行が報告されています。 マイコプラズマ肺炎は、感染者が咳をした際のしぶきを吸い込むことや、感染者との接触によって感染します。 感染してから発症するまでの潜伏期間は2~3週間と長いことが特徴で、感染に気づかないうちに出歩き、人にうつしてしまうケースが多いという理由から「歩く肺炎」とも呼ばれています。 発症すると発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます。また、熱が下がっても、咳が長引く傾向にあります。 マイコプラズマ肺炎の治療には、抗生物質やマクロライド系などの抗菌薬が用いられます。ただ、最近は抗生物質が効かない耐性菌も増えてきています。マイコプラズマ肺炎の感染を防ぐためには、普段から手洗いをすることが大切とされています。