被災後すぐに復活を 事業継続力強化計画に注目、和歌山県串本町商工会も支援
南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を受け、和歌山の紀南の企業でも被災時の対応を目的とした「事業継続力強化計画」が注目されている。経済産業省の認定制度で、補助金や金融支援などで利点がある。串本町商工会は認定に向けた取り組みを支援している。 【本州最南端は猛暑日知らず 今夏ゼロ、110年で2日、和歌山県串本町潮岬の記事はこちら】 事業継続力強化計画は、主に中小や小規模企業向けの防災・減災の事前対策。巨大地震や集中豪雨などの自然災害に加え、新型コロナウイルスなどの感染症にも対応した計画を策定できる。簡易版のBCP(事業継続計画)。 万一の危機対応力を高めるだけでなく、自社の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」のさまざまなリスクを抽出し、対策を検討することで、経営課題の発見や平時の経営改善にもつながる。 串本町潮岬のようかん製造・販売「紅葉屋本舗」は、昨年度に「事業継続力強化計画」の認定を受けた。災害時の従業員の安否確認や避難場所の設定など、実情に合わせて対策を明記している。 事業継続については岐阜県、愛知県、埼玉県の3カ所の製造業者と連携。串本町で製造ができなくても、被災していない拠点で生産、出荷できる仕組みをつくった。製造所固有記号を取得しており、他の製造所で作っても紅葉屋本舗として販売できる。 きっかけはコロナ禍。主力商品のようかんの売り上げが落ちる中、「もっと頻繁に口にする商品もラインアップに加えたい」と和菓子の材料を活用したプリンを開発した。 これを連携業者で製造し、通販サイトで販売している。自社を拡大しなくても製造量を増やせるほか、都市近郊で製造することで輸送コストも削減できた。 プリンはヒット商品となり、さまざまな賞を受賞。プリンがきっかけでようかんの新たな購買層を獲得するなどの効果もあるという。現在7種のプリンを連携業者で製造している。 坂井良雄社長(60)は「こうした仕組みがあれば、被災してもすぐに復活できる。うちのような小さな事業者でもすぐに取り組めた。これからも安心、安全、おいしさを追求し続けたい」と話している。 町商工会によると、町内の事業継続力強化計画の認定は昨年度、紅葉屋本舗を含め3件。
紀伊民報