車は「通行不可」の道路で、なぜか「右折禁止」 謎の標識、県警に尋ねてみると…
「この道路標識、間違っていませんか」。読者からそんな声が神戸新聞北摂総局に寄せられた。現場は兵庫県三田市東本庄の十字路交差点の標識。「日曜・休日を除く午前7時半~8時半」の条件付きで右折が禁止されているが、その理由が見当たらないという。メールをくれた男性と三田署を取材した。(尾仲由莉) 【写真】全国のファン?が注目「ハト」標識 “観測記録”を地図にまとめた猛者も 問題の標識は、細い道路を北進する車に向けて設置されていた。正しくは「指定方向外進行禁止」で、平日朝の1時間だけは右折が禁止され、直進か左折をしなければならない。 実際に交差点を見に行くと、確かに違和感を持った。東西を走るのは片側1車線の県道309号。なぜ大きな道路に出るのに右折できないのか。しかもわずかな時間だけ。メールをくれた西山浩樹さん(47)=同市=は仕事でこの十字路を通ることが多く、気になっていたという。 さらに西山さんが教えてくれた。「標識の条件付きの時間帯、この南北の道路は歩行者専用になるんですよ」。確かに交差点手前の道路は本庄小学校(東本庄)の通学路になっており、青地に大人と子どもが手をつないだ標識が設置されている。 そもそも、その時間帯に通行できないはずの道路からの右折禁止とはどういう意味なのか…? 西山さんの見立ては、標識は北進する車向けではなく、県道309号を東進する車が右折して歩行者専用道路に入らないよう規制するためのもので、向きが90度間違っているのではないか、というのだ。 西山さんがこの道路から県道へと右折するのは三田四ツ辻郵便局(四ツ辻)に寄った帰りで、通る時間が遅いため困ることはなかったが、標識の矛盾に疑問を抱き、北摂総局にメールをくれたという。 ◇ 三田署に尋ねると、やはり向きが違っていた。設置経緯は不明。県公安委員会が設置した規制標識であれば資料の保存期間が長いというが、問題の標識は同署が独自に設置したため、当時の資料は残っていなかった。同署の岩﨑智也副署長は「何かが当たった形跡はなく、最初から間違って設置したのか、あるいは突風で向きが変わったのかもしれない」と首をかしげる。 ネット地図サービス「グーグルマップ」のストリートビューで現場を調べると、2013年3月撮影のパノラマ写真にも標識が映っており、10年以上前から向きが間違っていたことが分かる。これまで反則切符の交付はなかったという。 10月上旬、標識はやや西側に移され、正しい向きで工事が完了した。岩﨑副署長は「今回のように間違った標識がほかにないか引き続き調査している。現在のところは見つかっていない」としている。 ◆ この記事は神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた情報を基に取材しました。