レバレッジかけた米国債ETFに過去最大の流入-過去の成績不振でも
(ブルームバーグ): 米金利が確実にピークに達したとの見方に賭ける米国債取引に、一部の上場投資信託(ETF)トレーダーが押し寄せている。これは過去3年間にわたって投資家に痛手を与えてきた取引だ。
ブルームバーグ集計データによると、ディレクション・デイリー20年超米国債ブル3X(TMF)に先週、過去最高となる6億2500万ドル(約960億円)が流入した。このETFはデリバティブ(金融派生商品)を活用して米国債パフォーマンスの3倍を提供する仕組みで、ボラティリティーに引き寄せられることの多いデイトレーダーに人気だ。
またiシェアーズ米国債20年超ETF(TLT)」には14億ドル強が流入した。前週は16億ドルだった。
9月に政策金利を0.5ポイントと大きく引き下げた米金融当局が先週、0.25ポイントの利下げを決定したことが背景。ただ追加利下げやそのペースは、財政計画でインフレを再燃させかねない次期米政権によって抑制される可能性がある。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は「金利が下がると考えるからTMFを購入する」とした上で「だがこの取引はうまくいかないように見受けられる。これまで期待外れとなるケースが多かった」と指摘する。
両ETFとも今年これまでの資金流入は目覚ましい水準だが、ともに損失を計上。トータルリターンでTLTは4%、TMFは25%のそれぞれマイナスだ。いずれも2020年以降、年間でプラスになったことはない。
だが24年に入ってからTLTへの資金流入は約140億ドルで、年間としてファンド設定以来3番目の規模となる方向だ。TMFは33億ドル以上を集めており、これも年間として過去2番目の高水準。
原題:Levered Bond ETF That’s ‘Broken Many Hearts’ Sees Record Inflow(抜粋)
--取材協力:Katie Greifeld.
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Vildana Hajric, Emily Graffeo