「今日の狙いは一分銀」子どもたちが貨幣コレクションにハマるワケ 大人の王道「投資」にもなる貨幣とは
■王道は皇室の記念貨幣 五輪やワールドカップ、鉄道開業150周年などさまざまな記念貨幣があるなかで、特に人気なのが皇室関連の記念貨幣だ。 皇室の慶事にちなんで発行される記念貨幣は1976(昭和51)年の「天皇陛下御在位50年記念100円白銅貨幣」に始まり、最近では2019(令和元)年の「天皇陛下御即位記念1万円金貨幣」がある。これまでに20種類ほどの貨幣が発行された。 「特にこの金貨はよく売れます」と、林さんがショーケースから取り出したのは、日本初の記念金貨「天皇陛下御在位60年記念10万円金貨幣」(1986、87年)だ。純金製で20グラム。 「半年前、金の買取価格が1万1000~1万2000円/グラムのころが一番よく売れました。この金貨を買って、持っていれば儲かると思ったのでしょう。実際、そうなりました」(同) 現在、金価格は約1万5000円/グラムで、20グラムの金貨だと最低30万円になる。 「金の値段がここまで上がっちゃうと、なかなか売れ行きは渋いです」(同) ■所有する喜び、いつの間にか資産に ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太さん(42)は小中学生のころからコイン収集が趣味だった。当初は純粋にコレクションを楽しんでいたが、徐々に目的が資産価値を増やすことに変化してきたという。 「20年前、金の価格は2000円/グラムほどでした。金貨を集めていたら、金の価格が上がって、自然に儲かったという感じです。そういう人は多いのではないでしょうか」(伊藤さん、以下同) 伊藤さんによると、日本の記念金貨はお買い得だ。たとえば、大阪・関西万博記念の1万円金貨は純金製で15.6グラム。金価格1万5000円/グラムで計算すれば23万4000円。それに付加価値として約15%を上乗せした金額で販売される。ところが、海外の記念金貨の場合、金価格に50%もの上乗せが当たり前という。 「日本の記念金貨は入手しやすく、コレクションとしても、投資としてもよいと思います」 投資が目的であれば、金の延べ板やETF(上場投資信託)を買ったほうが投資効率がいいのでは? 「金貨は、美しいコインをコレクションとして持つので、所有する喜びがあります。精神的な負担なく持ち続けられる。ETFなんて、普通、価格が2倍に上がったら売っちゃいますよ」 2000円/グラムのときに買った金貨の価格は単純計算で7.5倍になった。 「所有している金貨がいつの間にかすごい価格になっている。楽しいです」 (AERA dot.編集部・米倉昭仁)
米倉昭仁