メディア回顧 ファクトチェックの難しさ浮き彫りにした選挙 ドラマ原作改変問題も
別の在京キー局の報道担当幹部によると、局内ではすでに話し合いを重ねているといい、「放送法や公職選挙法をにらみつつ、『触れない方が無難』といってこれまで過度に自主規制してしまっていた部分がないかも含め、有権者にきちんと届く情報提供の方法を模索している」と明かす。
放送法は第4条で政治的公平などを求め、公職選挙法は新聞や雑誌が報道・評論を掲載する自由や、テレビの編集の自由を妨げるものではないとした上で、虚偽や事実の歪曲など「表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない」としている。前出の幹部は「次の選挙報道からでも変えていくつもりだ」と語る。
■選挙が金になり過激化
一方、藤代氏はSNSや動画サイトの「収益化」について、選挙報道では何らかの規制が必要だと説く。フォロワー数や視聴回数で収益が上がる仕組みだと、より注目を集めようと、過激な言説が飛び出しやすくなるからだ。
「いくらファクトチェックの努力を重ねても、押し流されてしまう。大手プラットフォームによる広告ビジネスの問題であり、少なくとも選挙期間中は成り立たせない手立てを打つべきだ」と藤代氏は訴える。
■能登地震で強く避難呼びかけ
「今すぐ逃げること!」。元日の夕刻に発生した能登半島地震では、最大震度7の揺れを観測。平成23年の東日本大震災以来となる大津波警報が発令され、普段は落ち着いた口調のNHKアナウンサーが、命令調で避難を呼びかけた。
被災地では、地上波テレビが中継局の停電とバッテリー燃料切れで最長23日間にわたって停波した。NHKは番組放送が終了していたBS103チャンネルを使い、地元や総合の番組を放送。携帯電話の通信障害も同時に発生し、災害時の「情報孤立」という課題が改めて浮き彫りになった。
■「セクシー田中さん」作者急逝
日本テレビが昨年10月期にドラマ化した漫画「セクシー田中さん」の作者、芦原妃名子さんが1月下旬、X(旧ツイッター)で「漫画に忠実に」といったドラマ化の条件が守られず、終盤は自身が脚本を書いたなどとする経緯を公表し、その数日後に急逝した。