70歳の母が畑で採れた野菜を送ってくれました。「年金が少ないので育てた野菜を食べている」と話す母に仕送りしたいのですが、税金はかかりますか?
「70歳の母が、自分で育てた野菜を送ってくれたんです」と話す、40代会社員のAさん。年金が少ないので育てた野菜を食べていると話す母に、仕送りを考えているが税金がかかるのか、とのご相談です。ちなみに、会社員だった父は定年の10年後に他界、専業主婦だった母は実家にひとり暮らしです。本記事で見ていきましょう。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
親子間で贈与にならないもの
親への仕送りの場合、税金つまり贈与税がかかるかどうかは、主にその目的や使い道で判断されます。国税庁のホームページには「贈与税がかからない財産」の一例として、次のケースが挙げられています(※1)。 「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」 Aさんが母親に仕送りする場合、通常の日常生活に必要な費用の範囲であれば贈与にはあたりません。また、通院や入院時にかかる治療費を親の代わりに負担することも同様です。 両親や祖父母など直系尊属からの贈与には、「住宅取得等資金」「教育資金」「結婚・子育て資金」への税制優遇措置のように、一定の要件を満たせば贈与税の課税価格に算入されない特例があります。 このような次世代への資金移転対策と比較すると、親が子(直系卑属)から財産を取得するケースは少ないためか、特段の優遇措置は設けられていません。生活費の支援、医療費あるいは介護費用の支援といった、「社会通念上相当と認められる」範囲かどうかで判断されるといえます。
課税対象になる場合とは
もし、生活費の名目で渡したお金が、その本来の目的ではなく、貯蓄や投資などに使われた場合は、贈与税の課税対象となります。 また、生活費として「必要な都度」「直接」充てるためのものに限られます。つまり、まとめて何百万円も一括して渡すのは、その目的や使い道に疑義が生じる可能性があるということです。日常の生活費の支援として社会通念上相当な金額を毎月、あるいは個別の必要性に応じその都度渡すこと、また購入したいものに直接支払うことが求められます。 なお、個別のケースについては、税理士など専門家にご相談することをお勧めいたします。 他に贈与で非課税になる取り扱いとして、1年間に贈与で得た金額が基礎控除額110万円以内であれば、贈与税が非課税になる暦年課税制度があります。ですが、そもそも「扶養義務者からの生活費の取得」という目的であれば、暦年課税を意識しなくても非課税となる取り扱いがあるということです。