俳優・岩谷健司、木村拓哉との共演は緊張の連続。クランクアップの時まで“芝居”を打たれ「やっぱりスターでした」
コロナ禍で撮影が半年間中断
現在、映画『輝け星くず』が全国順次公開中。この映画は、社会を脱落した者たちが再び自分の道にチャレンジする姿を描いたもの。 ある日突然、恋人・かや乃(山﨑果倫)が逮捕され、光太郎(森優作)は状況が理解できないまま、かや乃の父・慎介(岩谷健司)と一緒に彼女が拘留されている四国へ向かうことになる。しかし、自称パニック障害の慎介は移動手段が限られ、電車にも高速道路にも乗ることができない。そんなふたりが四国を目指してレンタカーで出発するが、その道中で光太郎は慎介がこの世にいないことになっている人物であることを知る…。 「娘に食わせてもらってひどいオヤジなんだけど、実はあることがきっかけで心に深い傷を抱えて…という感じでね」 ――ちょっと不思議なロードムービーでもありますね。撮影期間はどのくらいでした? 「全部で2週間ぐらいかな。最初の1週間ぐらい撮影したところでコロナ(ウイルス感染者)が出ちゃって、それで中止になって。半年くらい空いてからまた1週間ぐらい撮影に行ったのかな。だから、全部で2週間ぐらいだったと思います。 最初に撮影したのが冬で、撮影を再開したときにはもう暑くなっていたんですけど、冬の衣装のままだったから暑くて大変でしたよ(笑)」 ――森優作さんは、2024年5月に公開された映画『ミッシング』(吉田恵輔監督)でも話題になりましたが、岩谷さんととてもいいコンビ加減でした。 「そうですね。ああいうコメディって難しいんですよ。ちょっとやりすぎてもダメだし、ちょうどリアルな温度で、下のトーンでやってくれるから、俺がちょっと上でいっても変じゃないんですよね。 これが、彼が上から来ると、俺が完全にやっちゃっている空気になっちゃうんですよね。わざとらしくなっちゃってリアルにならない。だからバランスですよね。多分彼はいろんな人と組んだときに、邪魔にならないという言い方はおかしいんですけど、相手のそれを消さずにそこに存在していられる。そのフワフワ感というのがいいんですよね。 自分のことじゃなくて相手のことを考えているっていうところがすばらしい俳優だと思う。本当はお互いにそうであることが一番ベストなんですけど、自分を見せることばかり考えている人が結構多いじゃないですか。そうなるとおかしくなってくるので、自分はどうでもいいから相手を良くしようと思うことが大事なんです。 当たり前のことなんですけど、お互いにそう思っていると、お互いに良くなっていくんですよね。だから、彼とはやっていて気持ち良かったですね。思っていた以上にいい映画になっていたなあって思いました」 ――撮影でとくに印象に残っていることは? 「いっぱいありますよ。マジックバーのシーンがあるじゃないですか。マジックバーのシーンはお店を借りていたんですけど、撮影がまだ終わらないうちに撤収しなくちゃいけない時間が来ちゃったんですよ。それで、『どうするんだ?』ってなって。 慌ててその場で上のケーブルテレビか何かの会社に行って貸してもらえないか交渉して。そんな感じだからバタバタだったけど、何とか話がついて貸してもらって撮影したんですよ。『大丈夫かな?こんな状態でこの後どうするの?』みたいな感じでしたね」