サプライズ無き箱根駅伝予選会に世代交代の波
反対に麗澤大は右肩上がりのチームだ。 予選会は第83~92回大会までは16~20位という結果ながら、前回は過去最高順位の15位に浮上。今回は12位まで急上昇している。11位の上武大とは1分50秒差だった。1万mの平均タイムは17位。上武大以外の予選通過校とは25秒以上の開きがありながら善戦した。 麗澤大は留学生がいるわけでもなく、名門校の出身者も他校と比べて少ない。チーム構成、予選会の挑み方は上武大と似ている。タイムを稼ぐような選手はいないが、予選会の走りはクレバーだった。上位7人はペースを設定したうえ、個々でレースを進めて、残りの5人は集団走で、キャプテンの西澤健太がリード役を務めた。15kmと17.4km通過地点は15位だったが、終盤に盛り返して、総合12位まで順位を押し上げている。しかもチームで上位10位以内に入った選手に4年生はふたりしかいない。 「次点だったので悔しいですけど、選手はよくやりました。選手たちが悔しいと思えるところまできたことが成長だと思います」と話す山川達也監督は就任2年目。青学大・原晋監督と同じ中京大出身で、箱根駅伝を経験していない。 次点で落選した大学の監督が関東学生連合チームを率いることが慣例となっているため、来年の正月は山川監督が大役を務めることになる。その経験を生かして、34歳の若き指導者が伝統の箱根路に“新たな風”を吹き込むのか。 激動の箱根駅伝にまたしても世代交代の波が押し寄せている。 (文責・酒井政人/スポーツライター)