5時間営業で“年間10億円”…三重の『ローカルスーパー』がネット販売で異例の成功 その徹底したコスト管理
さらに、原則、自社で設置した宅配ロッカーに「置き配」することで、1件あたり3分ほどで配達でき、再配達による時間のロスを徹底的に排除した。配送料は月額525円(税込)からの「サブスク」だ。
高倉専務: 「日中の5時間なのでドライバーも5時間なんですね。なので(ドライバーは)主婦の方が非常に多い。日中の時間を活用していただいています」 ドライバーはほとんどが自社のパート従業員で、宅配にかける時間も1日あたり5時間と決めているため、輸送量の減少が懸念される「物流業界の2024年問題」の影響も受けない。
高倉専務: 「スーパーって非常に粗利が低いわけですよね。物流会社に委託してやってしまうと絶対に黒字化しないんですね。再配達をしてしまったら絶対(採算が)合わないんですね。生鮮食品もネット主体で買う時代が近く来るんですよ。これは間違いないですね」 ネット注文を締め切る午前中で、その日の売り上げが確定するため、廃棄や賞味期限間際の値下げのロスも回避している。この仕組みで、儲からないといわれているネットスーパーで黒字を出し続けている。
■目指すは『最強のプラットフォーム』 全国のスーパーを救うための挑戦
ローカルスーパーの「サンシ」は、2019年から、他社に対するネットスーパーの『コンサルティング業務』を開始した。全国各地のスーパー23社を助け、そこで得た利益は、日々進化するアプリの開発費に充てているという。
高倉専務: 「一緒になって開発費という名目でロイヤリティを頂きながらですね。最強の共通のプラットフォームをみんなで使いましょうという意味で今進めています。地元では、イオンさんがすでにいい場所は全部抑えているわけですよ。宅配だったら、今度は立地は関係ない。『ネットスーパー売れるんだ、黒字になるんだ』というのがわかればまた業界も変わってくると思います」
■子供に頼む“おつかい”もネットで…スーパーの生き残りのカギは「ネット」に
サンシのネットスーパーを愛用している、三重県菰野町の山岡さんは、買い物にかける時間が減り、フルタイムで働けるようになったという。 山岡さん: 「これはきょう買ったトマトと…ブロッコリースプラウトです。きれいな野菜を届けてくれるので。(以前は)買い物する時間も考えて、パートタイムで早く帰らせてもらっていたりとか」