「トランプ氏のトラウマ」再現か…米大統領選挙の衝撃、「為替相場」からやってくる
ハリス氏か、トランプ氏か。米大統領選挙の勝者がだれなのか決まる過程で為替相場が揺れ動く見通しだ。関税や補助金のような通商政策よりさらに直接的で速い衝撃波だ。 5日の米大統領選挙直後から韓国経済は当分の間「混沌の時間」に入る。どちらかの候補が激戦州で圧勝する場合、韓国時間で6日午後には当選者が判明するかもしれない。だが選挙終盤まで世論調査で誤差範囲内の接戦をしただけに可能性の低いシナリオだ。2020年の大統領選挙時は選挙後4日目に当選者が判明した。ワシントン・ポストは「最終勝者が決まるまで最長13日かかるかもしれない」と報道した。 選挙に先立ちハリス副大統領とトランプ前大統領が当選する場合、それぞれ米国に作る半導体・電気自動車工場に補助金を与えたり(ハリス氏)、輸入品関税率を引き上げる(トランプ氏)などの政策が韓国経済に及ぼす影響に関する分析があふれた。だが選挙結果確定だけでなく、来年1月20日の就任まで期間がかかる。補助金と関税政策が変わるにしてもすぐに、直接的に影響を及ぼすものではないという話だ。むしろウォン相場が1ドル=1400ウォンに迫るほど危険水位に達した為替相場がカギだ。 実際に最近の為替相場は米大統領選挙のニュースにより揺れ動いた。ウォン相場は米連邦準備制度理事会(FRB)の9月の0.5%の利下げ後先月には1300ウォン台前半まで上がった。だがトランプ氏が激戦州で上昇に乗ったというニュースが伝わった先月25日には取引時間中に1390ウォン台まで値を下げた。3カ月ぶりのウォン安水準だ。再び終盤にハリス氏が躍進するというニュースが出ると1370ウォン台に上がるなど、ジェットコースターに乗った。 大きく見ればハリス氏当選時には「ドル安」、トランプ氏当選時には「ドル高」の傾向になる可能性が高い。ハリス氏はバイデン政権の政策の連続性を維持するだけに国債利回り安定を追求する見通しだ。ドル安要因だ。これに対しトランプ氏は大規模国債発行、関税賦課、金利引き下げ先送りなどを推進する。ドルが上がることになる。ハナ金融研究所のチン・オクヒ研究員は10-12月期の為替相場を、ハリス氏当選時には1ドル=1310~1400ウォン、トランプ氏当選時は1350~1450ウォン台と予想する。 新韓銀行のエコノミストペク・ソクヒョン氏は、「トランプ氏の当選確定時に為替相場は1400ウォンの抵抗線を超える可能性がある。特に(トランプ氏当選に加え)上下院まで共和党が占める場合、そうした傾向がさらに強まるだろう」と予想した。続けて「接戦の末にトランプ氏が負けても大統領選挙の結果に従わないなどの変数により為替相場の変動性が持続する可能性がある」と付け加えた。 直近2度の米大統領選挙直後にも為替相場が急騰落した。トランプ氏とヒラリー・クリントン元国務長官が戦った2016年の大統領選挙では予想を覆してトランプ氏が当選するとウォンが1日に30ウォン近く急落した。1ドル=1129ウォンから始まり出口調査結果が出るたびに下がり、取引時間中に1157ウォンを記録した。当時の崔相穆(チェ・サンモク)企画財政部第1次官(現経済副首相)が口先介入し韓国銀行が緊急会議を開くなどの措置をしたためウォン安は1149ウォンで食い止められた。 トランプ氏とバイデン大統領が戦った2020年の大統領選挙はバイデン氏が優勢な雰囲気だった。だが開票序盤にトランプ氏が予想外に善戦するとウォンが20ウォン以上急落した。開票が進みバイデン氏勝利の可能性が大きくなると再び反転した。結局ウォンが小幅に上がる線にとどまった。 為替相場の行方を決める変数がもうひとつある。FRBが6~7日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で金利引き下げの可否を決める。シカゴ商品取引所(CME)のFEDウォッチによると、今回のFOMCで金利を0.25%下げる確率は99%だ。英イングランド銀行とスウェーデンとノルウェーの中央銀行も7日に金利引き下げの可否を決める。韓国銀行は28日に今年最後の通貨政策方向決定会議を開く。