若手俳優の躍動が素晴らしかった…ドラマ『マル秘の密子さん』の”本質”とは? 最終話考察レビュー
『マル秘の密子さん』が訴え続けた「まずは自分が変わってみること」
荻野目が隠し子だったという事実は衝撃ではあったものの、いわゆる“考察班”にとってはやや物足りないドラマだったかもしれない。 とはいえ、このドラマの本質はそこではなく、「思うようにいかないことを周りのせいにするのではなく、まずは自分が変わってみること」を、時にやさしく、時に力強く教えること。そして、人を想うことの力を教えてくれた。その点においては、ダイレクトに訴えかけてくれる作品だったのではないかと思う。 また、松雪泰子や石井正則、小柳ルミ子といった年長者が締めるところは締めつつ、若い世代が躍動していたのも本作の良かったところではないだろうか。特に、わがままなお嬢様という珍しい役どころを演じた志田彩良、ダークな魅力を発揮した黒羽麻璃央、コメディエンヌとしての魅力を開花させた桜井日奈子は印象的だった。 もちろん、本宮密子を演じ切った福原遥も。前半は謎に包まれた怪しげな表情を覗かせながら、徐々に彼女の背負った過去の哀しみ、怒りに震える様子など、様々な福原を堪能することができた。所作や表情、声色など、かなり細部まで意識していただろうことが見て取れる役どころだった。ここから繋がる今後の活躍にも、ますます期待が高まる作品となった。 【著者プロフィール:あまのさき】 アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
あまのさき