平泉成、80歳で映画初主演「この仕事がすごく好き」 俳優キャリア60年で貫いてきたこと
■演じることは“日常” 平泉さんが60年貫いてきたこと
数々の映画やドラマなどに出演、さらにナレーターなど幅広く活躍してきた平泉さん。失敗や挫折なども経験し、それを乗り越えてきた平泉さんにとって“演じること”、そして“貫いてきたこと”を伺いました。 ――平泉さんにとっての演技・芝居とは? “日常”なんですよね、芝居をする。夢のないことを言っちゃえばお金を稼ぐ。夢やロマンはちょっと横に置いて、“これで学費を稼ぐぞ”と“これで家のローンを払うぞ”っていう。そのためには、こんな仕事もしようこんな仕事もしよう。もう1本やろうと思いながらやってきて、いつの間にか夢やロマンはどこか遠くに忘れちゃってきていましたね。俳優としてはさみしいんですけど、そんな感じで俳優の仕事をやってきたんでしょうか。 ――60年の俳優キャリアの中で貫いてきたことはなんですか? 土足でガンガンと、よそ様の家のリビングに上がり込むような芝居はしたくないなと。よそ様のお宅に行くのにピンポンして、(玄関の戸を)ガラガラっとして。「こんにちは」と「お邪魔します」って言って、靴を脱いでそろえて、「どうぞ」って言われたら部屋に上げてもらう。そういう芝居をしたいなと。それだけはどんな仕事をやるときも心がけてきたつもりだったんですよね。下品になり過ぎないように、ということはいつも注意していました。
■俳優としてのこれから「生涯の仕事としてやっていきたい」
――俳優として挑戦し続けられるモチベーションは何でしょうか? この仕事がすごく好きだったということと、悔しさですかね。悔しいなと思って、それを乗り越えたいと思って。とにかく時間はかかっても、コツコツやっていけばいつの日かこんな(主役を演じる)日が来るかも分からないと。それまで、とりあえずやっている以上は頑張ってやろうと。そんな感じでやってきました。 ――今後、さらに挑戦していきたいことはありますか? 役者ですからね、主役じゃなきゃいけないってことじゃないんです。だから、主役もですけど、脇役も大切なところでやってみろってお話をいただけたら、色んなものにチャレンジしていきたいなと。人生100年時代ですからね。倒れるまでは、この仕事を生涯の仕事としてやっていきたいなと思っています。