それはSOSのサイン! トラウマを抱えた子どもが「困った子」になる本当の理由
友だちとトラブルばかり起こしている、大人に対して反抗的、拒食や過食……。こうした「困った子」は、実は本人が困っている子です。過酷な体験で生じた心の傷=「トラウマ」から、問題行動を起こしているのかもしれません。 【漫画】「悪魔の子の証だよ!」新興宗教にハマった母親が娘に言い放った信じ難い一言 わかりにくいのは、なにがあったかを子ども自ら話すことが少ないからです。トラウマは、先の人生に大きな影響を及ぼすことさえあります。ですから周囲は、子どもの回復のためになにができるかを考え、行動していくことが必要です。 そこでこの連載では、『子どものトラウマがよくわかる本』(白川美也子監修、講談社刊)を基にして、当事者はもちろん、子どもにかかわるすべての支援者にも知っておいてほしいことを、全8回にわたってお伝えします。 支援者が子どもや家族をコントロールするのではなく、双方が力を与え合い、この世に生きている幸せを共に感じられる。そんな瞬間を増やすのに役立つヒントをぜひ見つけてください。 子どものトラウマがよくわかる 第1回
子どもの困った行動は、トラウマを抱えているサインかもしれない
「トラウマ」は、過酷な体験によって生じる心の傷。その影響は子どもの日々の様子や行動に現れます。災害や事故など、衝撃的な出来事に遭遇したあと、子どもの様子に変化がみられれば、その出来事と子どもの状態との関連は見出しやすいものです。 一方で、家庭内での虐待や過去の性被害など、傍目にはわかりにくい出来事が子どもの心に傷を残す原因になっていることもあります。 ここに示すような困った行動や気がかりな様子がみられる子どもは、周囲には「困った子」とみられがちですが、子ども自身、自分ではどうにもならずに困っています。そうした子どもには、「トラウマがあるのかも?」という視点をもち、かかわっていくことが必要です。 【気づかれにくい子どものトラウマ】 ●友だちとトラブルばかり 攻撃性の高まりは、トラウマのある子どもに起こりうる自然な反応の一つ。友だちをいじめる、侮辱する、暴力をふるうなどといったかたちで現れることがある。 ●大人に対して反抗的、挑戦的な態度が目立つ 虐待によるトラウマをかかえている子どもは、力の差に敏感。「支配的」と感じる相手に怒りや敵意を感じやすい。 ●落ち着きがない 危険な出来事を体験したあとは脳の興奮が続きやすい。幼児では走りまわる、食べなくなるといった現れ方をすることも。 ●拒食や過食に 極端な食事制限や過食・嘔吐のくり返しなど、摂食障害といわれる状態になることも。 ●感情のコントロールができない 怒り、悲しみなど激しい感情が、なかなかおさまらない。激しいかんしゃくを起こしたり、泣き続けて止まらなかったりする。 ●極端なこわがりに 特定の場所や状況を極端におそれ、不安な様子を示す。 ●いつも投げやり、否定的 「わからない」「知らない」「どうでもいい」が口ぐせ。 ●ぼーっとしていることが多い 忘れものが多かったり、勉強に集中できなかったりする様子が目立つ。