今季限りで退任する岡田監督（右端）。虎ナインの手で宙に舞う姿を見せてほしい

日本人として誇らしかった。米大リーグのポストシーズンで初めて実現した日本人先発投手対決。ドジャースの山本由伸はもちろんすごかったし、パドレスのダルビッシュ有は2被弾がもったいなかったが、それ以外は大谷から2三振を奪うなどほぼ完ぺきな内容だった。 2勝2敗で迎え、勝った方がリーグ優勝決定シリーズ進出。めちゃくちゃしびれる試合で日本人が投げ合い、しかも2人とも持ち味を発揮し、テレビ中継を見ていてワクワクした。降板後に祈るような表情で戦況を見つめる2人の様子が印象的だった。両者に勝ちをつけてあげたいところだが、勝負というのは非情なものだ。 この日は快音を響かせることができなかった大谷翔平の戦いはまだ続く。地区優勝の時と合わせて既にシャンパンファイトを2回しているが、ワールドシリーズ制覇までいけばあと2回できる。次は千賀滉大が所属するメッツとの対戦となるが、大はしゃぎする大谷の姿をもっと見たい気持ちもある。 メジャーのポストシーズンが盛り上がる中、日本のプロ野球もようやくCSが始まった。阪神は3日のレギュラーシーズン最終戦から中8日での試合。6日には岡田監督の今季限りでの退任が球団から発表され、自ら選手たちに「今季限りで辞めます。CS頑張りましょう」と伝えた。衝撃のニュースに、チーム内には動揺が広がってもおかしくないが、トラ番キャップ新里公章は「いい意味で変わりないですよ」という。 「昨年もCSと日本シリーズを経験していますし、選手たちからはふわふわした様子は感じられません。岡田監督が退任するからといって特別に気負うこともないでしょうし、普段通りのプレーをしてくれると思います」 新里の言葉を信じていたのだが…。DeNA・東が四回で降板してくれたのに、久々の試合で実戦勘が鈍っているのか、打線がなかなか得点を奪えない。一方、DeNAは6日から中5日での試合で序盤から牧や佐野を中心に鋭いスイングをしていた。最後に反撃したが痛恨の黒星…。岡田阪神はいきなり崖っぷちに追い込まれた。 有終の美で飾った監督といえば、2014年のソフトバンク・秋山幸二監督を思い出す。その年、チームはリーグ優勝したが、日本ハムとのCSファイナルステージ開幕を翌日に控えた10月14日、秋山監督は同シーズン限りでの退任を発表。2軍監督、コーチ、1軍監督と、計10年間務めたことを一つの区切りとして決断した。当時タカ番だったのが長友孝輔デスクだ。