鈴鹿サーキットでのF1日本GP開催契約、延長期間が5年になった理由「環境変化が激しい世の中において、5年間が適切だと考えた」
■環境変化とは何か? そして鈴鹿の日本GPの”課題”
”環境の変化”とは一体何を指すのか? そう尋ねると、斎藤社長は次のように説明した。 「難しい質問ですね。我々としては、その時その時におけるF1の価値を、適切に判断していかなければいけないと考えています。個人の価値観だとか、レースへの興味であるとか、世の中の潮流だとか……色々な要素があると思います」 「なかなか明確には申し上げられないですが、5年と言うと、様々なことがものすごいスピードで変わっている中で、何が起きるか分かりません。したがって、我々としては、環境の変化を敏感に察知し、それを踏まえて適宜対応策を検討していくことが大切だと思っています」 「私個人としては、F1日本GPを長期的に開催していく価値はあると思っています。ただ、私が個人的に思っていても、世の中がどうなるのかは分かりません。ただ大事なことは、5年後に契約延長の交渉をする際に認めていただけるよう、この5年の中で進化させていくということだと思います」 そのためにも、サーキットの安全性やホスピタリティ、そしてアクセスなどを改善していかなければいけないと、斎藤社長は語る。 「安全に関しては、我々としても最大限の努力をしていかなければいけないと思います。ただサーキットが努力するだけで、安全性が担保できるわけではありません。色々な関係者と協力しながら、取り組んでいきたいと思います」 「F1の環境は大きく変わってきているように思っています。レースそのものを楽しんでいただくのはもちろんですが、イベント全体をどう作り上げていくかというのが、世界的な潮流になってきていると考えています。そういう観点で言えば、鈴鹿としても、来ていただいたお客様に、レースを含めたイベント全体で、より一層の喜び、感動を提供していくことが今後の大事な役割だと認識しています」 鈴鹿サーキットへのアクセスに関しては、現状では多くの課題があると、斎藤社長は言う。 「嬉しいことにグローバルレベルでF1人気がすごく高まってきており、昨年は過去最大規模の海外からのお客様にお越しいただきました。それは大変喜ばしいことなのですが、その反面でアクセスの面で課題を残してしまったという認識もあります」 「近鉄の白子駅、そして伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅のキャパシティは上限に近いと聞いています。今年は、駅周辺の人流をよりスムーズにするような取り組みをしていきますが、正直、限界はあるので、他の駅からバスを運行したり、パークアンドライドのシステムを作ったりすることも検討しています。F1を継続開催する上では、サーキットまでスムーズにお越しいただける環境を作ることが、我々にとっても最も重要なテーマの一つと認識しています」 初の春開催となる2024年F1日本GPの決勝は4月7日(日)。観戦チケットは絶賛発売中だ。
田中健一