ドラフト目玉候補に”公立の星”愛知・高蔵寺高2年の芹沢大地 世代屈指の左腕に中日スカウトも高評価
愛知の公立進学校に来年のドラフト上位候補が現れた。高蔵寺高2年の芹沢大地投手(16)は中学時代に強豪校から勧誘されなかったものの、今では世代屈指ともいわれる最速147キロのサウスポー。”公立の星”として来年のドラフト会議では目玉の一人となる可能性を秘めている。 夏の甲子園出場を懸けた愛知大会で、歴代最高成績は8強。創立45年でNPB選手が一人も出ていない愛知県春日井市の高蔵寺高。野球では無名の同校の名を全国に知らしめる存在となりうるのが芹沢だ。 「中学生までプロになりたいと思ったことはありませんでした。最近、SNSやニュースで取り上げられるようになって初めて意識し始めた。今は最終的にプロに行くことが目標です」 中学までは無名の存在だった。小中学校では全国大会はおろか、県大会への出場もなし。高校から直接勧誘を受けたことはなく「勉強と野球を両立させたい」との理由で、自宅から自転車で15分の同校に進学した。どこにでもいるごく普通の高校球児として3年間を過ごすつもりだった。 ただ、高校入学後から急成長を遂げる。入学当初は身長が170センチ台前半しかなく、球速は最速で130キロ出るか出ないか。それがインステップの矯正や軸足の股関節に体重を乗せるイメージでフォームを修正し、今春には初めて140キロを超えた。今夏の愛知大会前の練習試合では147キロに自己最速を更新。「150」の大台も目の前に迫っている。 身長も1年半で10センチほど伸びた。同校の河原仁監督(50)は「最初はひょろひょろっとした印象でした。ただ、力強い球筋のキャッチボールを見て『これはモノが違う』と思いました」と芹沢の入学当初を思い返す。 公立校に突如現れた好左腕にプロのスカウトも大注目だ。中日の清水スカウトは「球速だけでなくコントロールもよく、右打者、左打者の内角に投げきれる技術とメンタルが備わっている」と高評価。「今年にドラフトの対象選手だったとしても指名されていたでしょう」と言い切る。体重68キロのほっそりとした体格にも「伸びしろしかない」と、まだまだ完成形だとは思っていない。 世代屈指の左腕ともいわれる存在となり、「まさかそうなるとは…」と本人も驚く。大学、社会人を経てのプロ入りを考えているが、高校から直接プロに入る道も捨ててはいない。 「チームとしては(来年)夏の甲子園に行き、勝つことが目標。個人としては最速150キロとチームを勝たせられる投手になりたい」。”愛知の公立の星”が、ひと冬を越えてどれだけ成長するかが楽しみだ。 (谷大平) ▼芹沢大地(せりざわ・だいち) 2008年3月23日生まれ、愛知県春日井市出身の16歳。182センチ、68キロ。左投げ左打ち。不二小2年時にニュータウンジャガーズで野球を始め、高蔵寺中では軟式野球部でプレー。高蔵寺高では1年夏から背番号15でベンチ入りし、2年秋から背番号1を背負う。最速147キロで、持ち球は直球、カーブ、スライダー、チェンジアップ。
中日スポーツ