2025年の新春詠 朝日歌壇・俳壇選者が新年に詠む20作品
朝日歌壇と朝日俳壇の選者による2025年の新春詠です。歌壇の4選者からそれぞれ2首、俳壇の4選者から3句ずつ、寄せていただきました。 【写真】朝日歌壇選者を務める4氏。(左から)高野公彦さん、佐佐木幸綱さん、馬場あき子さん、永田和宏さん 本年も朝日歌壇と朝日俳壇をどうぞよろしくお願い申し上げます。 ■かしのみの 永田和宏 朝に飲み昼すこし飲み夜を飲むこの日くらゐはまあいいだらう かしのみの独りの宵を飲むわれに二匹の猫のつかずはなれず ■鵜の空 馬場あき子 鵜(う)の群れの高く飛びゆく大空のまだ残りをり羽田の海に オリオンは立ちて見てをり病む足をかばひて早寝せんとする夜を ■龍の字 佐佐木幸綱 多摩川の川原の空に揺れているひさびさに見る凧の龍の字 新しき雪を着て今朝はるかなる秩父連峰白く輝く ■和魂のひかり 高野公彦 吐田米(はんだまい)うましと食みて思ひ出づ大和の空の和魂(にきたま)のひかり 七度目の年男なり老いでなく命を味はふ嬉しさかこれ ■鏡は宙(そら)に 高山れおな 短日の影が長くて迷ひけり 数へ日の月ただならず昨日今日 昭和百年源氏千年初鏡 ■七草 小林貴子 思ひ出は水の重さや着衣始(きそはじめ) 亀甲の籠に七草とりはやす 獅子舞の中の人かつ尻の方 ■初山河 長谷川櫂 大岡も谷川もなし初山河 冬青空ラララ太陽うたひつつ 冬すみれ二十億光年のかなたより ■初景色 大串章 見慣れたる山に覇気あり初景色 初旅の翼下白雲広がれり 房総は第二の故郷初明(あか)り
朝日新聞社