甘いパンやチョコで心血管疾患リスクが低下する可能性が?スウェーデンの研究でわかった意外な事実! 「添加糖のすべてが“悪”ではない」
ジャーナル『Frontiers in Public Health』に発表された研究結果によると、ペイストリー(パン菓子類)やチョコレートを含む「甘いもの」は、一部の心血管疾患の発症リスクを低下させている可能性があるという。ただし加糖飲料は高リスクであり、摂取量に注意が必要だとされている。 【写真】実は体によくない!?「栄養士が避ける40の意外な食品」 ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 ※本記事は、イギリス版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。
どんな研究?
スウェーデンのルンド大学の研究チームは、さまざまな食品と飲料に含まれる添加糖と7種類の疾患(虚血性脳卒中、脳内出血、心筋梗塞、心不全、大動脈弁狭窄(きょうさく)症、心房細動、腹部大動脈瘤)の発症リスクの関連性について調査した。
調査方法は?
スウェーデンの成人6万9705人(45~83歳)を対象とし、心臓と血管の健康状態に関する22年間の追跡調査を実施した。1997年と2009年に食習慣に関するアンケート調査を行い、ペイストリーやアイスクリーム、チョコレートなどの甘いものと、ソフトドリンクや果実飲料などの甘い飲み物、ハチミツやジャムの摂取頻度などについて調べ、スウェーデンの診断名登録情報と照合。7種類の疾患との関連性について、分析を行った。
研究結果
加糖飲料:虚血性脳卒中、心不全、心房細動、腹部大動脈瘤の発症リスクの上昇との間に関連性がみられた これらの疾患の予後は、摂取量が多くなるほど悪化していた 甘いもの:意外なことに、ペイストリー、チョコレート、アイスクリームは、調査対象とした7種類すべての疾患リスクの低下と関連していた ジャム類:心不全と大動脈弁狭窄のリスクが低下していたいっぽう、腹部大動脈瘤のリスクは上昇していた
結果から推測できることは?
明らかに、すべての糖が等しく健康に有害だというわけではない。この研究結果が示すのは、添加糖は心血管の健康に複雑な形で影響を及ぼしていることだろう。 加糖飲料は心疾患の大きな発症リスクになっているものの、ペイストリーやチョコレート、アイスクリームなどは、摂取量が極端に多くなければ、一部の心疾患の発症リスクを低下させるだけでなく、保護効果もあると考えられる。 研究結果は、できるだけ砂糖の摂取量を減らすというだけでなく、摂取の仕方についても注意することの重要性を示している。全体として健康的な食生活を送っていれば、甘いものはメリットをもたらす可能性もあるといえるだろう。ただし、研究結果は今後のさらなる研究の重要性を指摘している。