チェゼーナDFに10試合出場停止処分…今夏のウルブス戦でファン・ヒチャンに人種差別発言
国際サッカー連盟(FIFA)は7日、コモからチェゼーナへレンタル移籍中のイタリア代表DFマルコ・クルトに10試合の出場停止処分を科したことを発表した。 事の発端は今年7月に開催されたウルヴァーハンプトン(ウルブス)とコモによるプレシーズンマッチ。この試合でウルブスに所属する韓国代表FWファン・ヒチャンが、当時コモに在籍していたクルトから人種差別的発言を受けたと伝えられている。なお、ウルブスのチームメイトは後半途中に激しい反応を示し、激高したポルトガル人FWダニエル・ポデンセ(現:アル・シャバブ)は相手選手に殴りかかり退場処分となっていた。 コモは試合後に公式声明にて「当クラブは人種差別を容認しておらず、あらゆる形態の人種差別を可能な限り強く非難する」と前置きしつつ、次のように発表した。 「私たちは問題のDFと話し、何が言われたのかを理解した。彼は同僚のDFに『彼(ファン・ヒチャン)を無視しろ。彼は自分がジャッキー・チェンだと思っている』などと言ったことを私たちに明かした。選手たちと長時間話した結果、これは選手の名前と、ピッチ上でチームメイトが絶えず『チャンニー』と呼んでいたことに言及したものだと確信している。クラブが認識している限り、選手は侮辱的な発言をしていない。一部のウルヴス選手の反応によって、この事件が誇張されてしまったことに失望している」 ウルブスがイタリアサッカー協会(FIGC)や欧州サッカー連盟(UEFA)に苦情を申し立て、韓国サッカー協会(KFA)がFIFAに同時案を報告したと伝えられるなか、ようやくクルトに対する処分が決定。FIFAの広報担当者は「マルコ・クルトは差別行為の責任があると判断され、10試合の出場停止処分を受けた。半数の試合は2年間の執行猶予となる。当該の選手は社会奉仕活動を行い、FIFAが承認した組織でトレーニングと教育を受けることを命じられた」と述べ、10試合の出場停止処分が科されたことを発表した。 これを受け、ウルブスは現地時間7日に公式声明を発表。「7月に行われたプレシーズン中のコモ戦で起きた人種差別事件について、FIFAによる出場停止処分を歓迎する」と前置きしつつ、次のようにクラブとしての見解を綴っている。 「選手に科された出場停止処分は、人種差別やあらゆる差別行為がサッカーに限らず社会でも容認されないという明確なメッセージだ。この決定は、重大な行為が相応の結果をもたらすというFIFAの取り組みを強調するものであり、スポーツにおける制裁が社会奉仕や教育と並行して行われることを我々は強く願っている。このような措置は、我々全員が愛するスポーツから差別的行為を根絶するために、罰と教育の双方が重要であると強調している」 「また、このプロセスを通じて継続的な支援をいただいたFA(イングランドサッカー協会)にも感謝している。サッカーの統括団体間による協力は、このような事件が効果的に処理され、選手、スタッフ、サポーター全員が差別から保護されるために不可欠なものだ。ウルブスはいかなる形態の差別にも断固として反対し、誰もが尊重され、受け入れられていると感じられる環境を作るべく全力で取り組んでいく」
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