体に必須のミネラルだが、健康食品で知らずにとりすぎて重篤な障害が起きている
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【前編】「男性機能改善」をうたう健康食品で腹上死!! しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より連載形式で紹介する。 前編<「男性機能改善」をうたう健康食品で腹上死!! 突然死する可能性がある人が抱える疾患とは>
知らずに毒素の強いミクロミネラルを摂取する可能性も
ミクロミネラルはその呼び方のとおり、わずかな量だが体にとって欠かせない働きをする物質である。このミクロミネラルによる健康食品での事故も、やはりこれまで同様、必要以上にとってしまうことで起きている。 ただミクロミネラルの過剰摂取がこれまでと違うのは、決められたとおりの量を摂取していたにもかかわらず、事故が発生してしまうケースが少なくないことだ。原因の一つはその健康食品に含まれている量がいい加減であること。もう一つは普段の食生活で摂取を意識しなくてもそれほど不足状態にはならないのに、健康食品でとりすぎてしまうためである。ミクロミネラルによる体への障害は軽くないので、どう防げばいいか事例を紹介する。 【クロム】ダイエット食品でクロムが過剰になり腎障害発生 金属元素のクロムは人の必須元素である。不足すると糖の代謝がうまくゆかなくなり糖尿病のような症状になってしまう。それはクロムが、糖代謝の重要なホルモンであるインスリンの働きを助ける作用があるからである。 体にとって不可欠なクロムだが毒性が強いため、メッキ職人などクロムを扱う人の職業病として皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、肺がんなどが知られている。 クロムの必要量は極めてわずかで、通常は食事から十分摂取できている。ところが微量元素の健康食品として、クロムを含むダイエット用の製品が販売されていて、過剰にとってしまうのである。その結果、重篤な腎障害を発生させた報告があり、障害にあった人の共通点は、いずれも組織に高濃度のクロムが検出されていた。