大ヒット中『どら焼き屋さん物語』ドラえもんファンがニヤリとした「粋な演出」
■原作に沿った「キャラ変」事情
実はこのゲームには『ドラえもん』だけでなく、藤子・F・不二雄先生の56作品から、86人のキャラクターがお客さんとして登場します。そして特定のアイテムを渡すことで、キャラクターの姿が変わる原作再現も見どころのひとつです。 たとえば、ジャイ子に漫画をプレゼントすると「クリスチーネ剛田」になります。これは原作で少女漫画家としてデビューを果たすジャイ子のペンネームです。ほかにも須羽ミツ夫やブービー、星野スミレに「パーマンセット」を渡すと、パーマンになって空を飛べるようになります。 そんななかで個人的に一番グッときたのは、キテレツに「奇天烈大百科」をプレゼントすると、コロ助が誕生するというイベントですね。やっぱり、この二人は一緒にいてこそだと思います。 ちなみに、新たなキャラが増えていくきっかけも原作準拠になっていて、たとえば『キテレツ大百科』のコロ助がいる状態なら「勉三さん」がお客さんになり、『パーマン』のブービーがいる状態なら、大山法善(パーやん)が新たなお客さんになるといった、原作内での関係性が表現されています。 今回は『ドラえもん』を中心に、『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』の「原作愛ネタ」を振り返ってきました。もちろん、これはほんの一部でしかなく、まだまだたくさんあります。むしろ、『ドラえもん』以外のネタのほうが、すごいかもしれません。 先述の通り、本作には藤子・F・不二雄先生の56作品のキャラが登場します。『パーマン』『キテレツ大百科』『エスパー魔美』といった有名作から、「えっ、こんな作品知らなかった」というようなマニアックな作品まで網羅されているのです。筆者が生まれる前の作品まで含まれていて、「いっそ藤子・F・不二雄全集に手を出すか……いやちょっとお高いな?」「でも……」などと葛藤してしまうほどでした。 もちろん『ドラえもん』しか知らないという人にも十分楽しめる内容なので、遊んでいるうちに未知の藤子F作品が読んでみたくなる、そんなゲームと言えるかもしれません。
山口和則